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換金を急ぐ売り手と突然いなくなる買い手:バブルはある日突然崩壊する

2022年09月02日 ネズミ1号:略称「T」
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物理現象としての泡(バブル)は「パチっ」と突然はじけるもの

バブルは弾けるからこそバブルである

この記事やこちらでも取り上げましたが、FRBでは、断固としてハイパーインフレによる経済の混乱を抑え込む指針のようです。

バブルというとちょうどシャボン玉のような泡のことをいいますが、はじけない泡といのはないのも事実。そして泡というものは物理的に、ゆっくり弾けることもしません。はじける時は一瞬で「パチっ」と弾けるものです。

どうせ弾けるものならば、副作用を少しでも抑えるべきでだというのがFRB議長の決意そのものみたいで、ここではそれがハイパーインフレということなのでしょう。


米国株価は一時乱高下の上、上昇傾向にあるようですが、換金を急ぐ売り手がいる一方でどこかのタイミングで買える人がいなくなる時、一気にバブルは崩壊は起こるのかもしれません。


株価が下落することによって、年金運用していた資金も大幅に目減りし、英語でいうPension Planみたいな確定拠出年金額(企業が掛け金を出して株式を運用する制度)も大幅に目減りしてしまい老後の計画が壊れてしまう人も出てくるかもしれません。

「バブルは弾けるからこそバブル」というたとえは的を得ているように思いますが、今、なぜ、各国がインフレ撲滅に躍起になっているのか等、ハイパーインフレの恐怖という過去の歴史の教訓も踏まえ考察してみました。


 

 

株価暴落は突然前触れもなく訪れるもの!?

誰かが気づき始めると、換金を急ぎ大勢がもはや投げ売りのごとく売りまくりはじめる。そういう時がある日突然くるのがバブル崩壊という感じでしょうか?
ブラックマンデーという言葉もありますが、株価大暴落はある日突然訪れるようです。
金融も引き締めされ、金利も上がった中で、次に変える買い手が市場からいなくなってしまうという状況となる訳です。

株式が暴落することで、企業の資本価値も目減りし、資金繰りままならなくなるかもしれません。
少しでも損失分を埋めるべく、人員整理や事業の整理なども行われ失業率も増加するかもしれません。

当然、高価な固定資産でもある住宅などは売れなくなり、賃貸であってもこれまで払えていた賃料が払えなくなるような人も増えるかもしれません。

株式や土地に関わらず、耐久消費財やサービスまで、これまで買う余裕があった人が買えなくなることで、実態経済にも多大なる影響がでるのかもしれません。

バブル崩壊による景気停滞も、ハイパーインフレに比べればまし!?

それでも、ハイパーインフレになって、お金が紙くずになるよりはましとおいうのがFRBの判断なのかもしれません。

FinantialCrisis-1.png

*1923年ドイツで起こったハイパーインフレで、さがる続けるマルクを危惧して食料品店に殺到するベルリン市民

ハイパーインフレになってしまうと、お金は紙くず同然の価値となり、普通に働いて生活費を稼いでいる人であっても、スーパーで食品すら買えなくなってしまうような混乱が起きてしまうからでしょう。

ハイパーインフレの恐怖

ハイパーインフレに陥った事例として、20世紀初頭のドイツが良くあげられます。

有名なエピソード

あるドイツの大金持ちが、ハイパーインフレに苦しむドイツに見切りをつけて、米国に移住するためドイツの豪邸を売り払った。そして港へ行って船の切符を買おうとしたところ、家を売った金ではもはや船の切符を買えなかった。仕方がないので、港から町へ戻るために馬車に乗ろうと思ったら、その間にインフレがさらに進んで、馬車の運賃すら払えなくなっていた。

紙幣の価値がゼロに限りなく近づくという恐怖は、それまでバブルでいい思いをしていた人だけでなく、一般庶民も巻き込み、国家が破綻するレベルの事件へと発展して行くことが想像できます。

貨幣・紙幣の無かった古代の時代に戻ってしまうようなもので、時給自足ができない現代人にとっては生きることすらままならない状況になっていくかもしれません。

もっている金融資産や預貯金がかぎりなくゼロ価値になっていく恐怖は、経験したことがない我々には想像できないものでしょう。

そういう意味では、現FRB議長が、インフレ撲滅に躍起になっているのも理解できます。

一方、世界が金融引き締めに向かっている中、金融緩和しているのは日本だけとなっているようです。「金利がさがりほぼタダに近いコストでも資金需要がない日本」ということですが、日本では通貨は日銀が国債を買って沢山発行されても実際に市中にはそこまで出回っておらず、日銀のバランスシートと口座に積みあがっているだけではないかともいわれています。

日本は、米国やその他先進諸国のようにリーマンショック後の大規模な財政支出(国債により得た資金などで)をやっていないそうですが、2022年度の102兆円とも言われている一般会計予算の内、35%にあた36兆円は国債等による借金となっているようです。

20世紀初頭でドイツで起こったハイパーインフレは、第一次世界大戦の巨額の戦費による借金と、敗戦後課せられた巨額の賠償を賄うべく、通貨を乱発したことで起きたと言われていますが、当時は金本位性だったと思うので、本当の意味で乱発したってことなんでしょうね。

現在の日本の場合ですと、金というよりは、日本全体の精算価値を示すGDPがそれに該当するように思いますが、借金してお金を投入することで、経済が成長すれば問題ないのでしょうが、経済成長が見込めないことがらに浪費しつづけるために、予算を補うべく、身の丈以上の金融緩和をしつづけるようなことをしていたとすると、将来その付けを払うことになるようなことがある日突然訪れるのかもしれません。



2022年09月02日 ネズミ1号:略称「T」
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