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量的緩和をやってしまった日・米・英がこれから直面する局面とは?

2014年04月07日 ネズミ1号:略称「T」
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これからハイパーインフレの恐怖と戦わなければならい悪夢が到来する!?

昨日に続いて、今日は、量的緩和を実際に行った日・米・英についてのお話です。日銀黒田総裁の量的緩和はラッキーだったというお話ですが、これは非伝統的な金融施策を一気に加速させることで投資を返したインフレ期待に沸いた外国人投資家が日本株を買いあさったとういうことが実情のようです。これは、インフレになったら金の借り手が得をするという論理なのだそうです。
現に円安、株高効果は実際にに銀による量的緩和の実施前に起きた現象であり、借金返済に走り投資先に困っていた外国人投資家の日本買いというセンチメンタルなマインドがたまたま動いたというラッキーパンチだったようです。しかし、ここ最近、その熱気と期待感は幻滅へと変わってきてるとの事。日本経済の正念場となるようです。2回目の日銀よる量的緩和は、今後エグジットを見据えたハイパーインフレとの恐怖(景気回復時に直面する「量的緩和の罠」)と隣り合わせの財政運用を強いられるだろうとのことです。


 

 

長期国債による量的緩和は今後足を引っ張る可能性

長期国債による準備金手当をした禁じ手がこれからじわじわしみてくる

以前の日銀は、短期召喚可能な手法で量的緩和を行っていたそうです。簡単にいうと数か月で償還するコマーシャルペーパーのようなもので銀行にマネーをサプライして、償還期限到来とともに、自動的に緩和して飽和したマネーが消えるという仕組みです。これに対して黒田総裁のケースでは日銀が長期国債を担保にお金を供給するということを行っているようです。これは何が問題かという事ですが、5年、10年もの間そのお金がマネタリーベースを押し上げたままとなってしまうのです。

景気は循環するものと言われますが、なぜこのことが問題になるかというと、下のグラフのとおり、景気が回復すると、市中に出回るお金への需要が一気に加速するそうです。そうなると金利が上昇し、インフレが加速するという罠が待ち構えているという構図になるそうです。膨大に膨らんだマネタリーベースとそれに基づく市中に出回る資金需要が大きくなるとちょうど梃の原理のような形で金利が急上昇する可能性がでるとのこと。

QuontitativeEase01.png

今後量的緩和を行った日・米・英は、こうした兆候を見ながら、市場の状況より一歩先取りした難しいかじ取りをしなければならくなるそうです。行動が遅れるとハイパーインフレになる危険が常に付きまとうのだとのこと。バーナンキが足早に出口戦略を打ち出した件もこのことに気付いたからと言われているようです。

トータルスパンで見ると量的緩和コストはしなかったケースに比べ高くつく?

先日の記事で、ゼロ金利、量的緩和を行ってもみんなが借金返済に夢中になっているため、誰も借り手がいないというお話を紹介しましたが、経済の回復局面を考えると量的緩和をしなかったケースの方が確かに底うち局面で苦労するが、下のグラフのように、景気回復局面では安心して金融政策をドライブできるのだそうです。一方量的緩和を行ったしまった場合、確かに底をつかずセンチメンタル的にインフレ期待をあおり良かったかのように思える局面があるようですが、量的緩和のベネフィットと量的緩和の解除コストを考えると、トータルでは、下のブルーの面積と赤の面積を比べてみれば分かる通り結果的には、量的緩和のベネフィットを緩和解除コストが上回ることなるのではということだそうです。

QuontitativeEase02.png


緩和コスト該当する部分は、長期金利の上昇とそれを受けた強い為替レートという弊害です。こうした要因により「GDP成長率が押し下げられる」=「経済成長にブレーキがかかる」=>コストとして支払うことなる。という図式のようです。

バーナンキが量的緩和について、FRBが購入する債権額を減らすと言っただけで、株式市場が敏感に反応し、その対応に苦慮するさまがまさに当てはまるといえるでしょう。ここにきて今年度中にゼロ金利も解除みたいな発言も米国で聞かれるようになってきているようですが、出口戦略を如何にソフトランディング(市中にヘリコプターマネーとしてばらまいたお金を小さくできるか)今後難しい、神経をすり減らすような金融政策オペレーションを行わなければならくなるようです。

ユーローの不況は、統一通貨にあった。先進国で唯一量的緩和を行っていないユーロの可能性とは?

各国国際購入に為替と同じような制限をかけることでユーロは復活する!?

一方で、日・米・英が量的緩和を行った先進国という事に対し、ヨーロッパは量的緩和を行わなかった点有意な立場にあるとのことです。ヨーロッパで起きたソブリン危機は、統一通貨ユーロというメカニズム上、各国が独自の金融政策が取れない状況が問題であると指摘されています。つまり為替変動要素がないため、バブルが崩壊後、借り手がいなくなった際に、本来であれば、例えばスペインの銀行であれば、為替変動リスクを鑑みて、自国の国債を購入するはずが、為替変動がないので、ギリシャとかポルトガルの国債を買ってしまうことが問題なのだそうです。リチャード・クー氏によれば、便宜的に、ユーロ圏の他国の国債を買う場合は、為替変動率に相当するようなリスク指標を盛り込むことでこの問題は解決するだろうということですが、プライドの高いヨーロッパ人がこの理論を採用するか否かでユーロ圏の今後の可能性がどうなるか注目点だということです。

ドイツは優等生ではない!?(与太話)

まじめで知られるドイツ人は実はユーロ圏他諸国に先んじてバブルに踊ったのだそうです。ちょうど1990年代中盤―2000年初頭なのだそうですが、バブル崩壊でドイツではバランスシート不況に陥ったのだそうです。デフレになり、賃金も下げ止まり、それが要因で競争力がついたというのです。一方で、遅れてバブルが到来したスペインやポルトガルでは、給与があがり、資産価値もあがり、購買力も増える中で、割安なドイツの製品を輸入したことでドイツ経済は復活したのだそうです。

ソブリン危機に際し、ドイツの人たちは、自分たちはまじめに堅実に仕事をしてきた一方で、ギリシャなど財政規律が?な国をなぜ自分たちの税金ですくわなければならいんだ!という言う人が多いようですが、実はドイツ自身バブル崩壊でバランスシート不況に陥っていたところをこうしたユーロの国々に救われたとう見方もできるようです。

以上、ざっくり要点をまとめてみましたが、記憶違いなどがあればご指摘を。

こちらの「バランスシート不況とは何か?みんなが一斉に借金返済に走るとどうなるか!?」記事も前段のお話して参考まで。



2014年04月07日 ネズミ1号:略称「T」
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