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今後、住宅ローン金利はどういったペースで上昇するのか?

2022年11月02日 ネズミ1号:略称「T」
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住宅ローン変動金利と固定金利の決まり方に注目

住宅ローン金利については、11月にかけて都銀固定金利がまた上がりましたが、変動金利は低水準をキープしているので、銀行窓口では変動金利に数年のプレミアム金利特典押しでおススメされるようです。

若い方は目先の月々の支払に目が行ってしまい変動金利で借り入れする方もいるのかもしれませんが、10年スパン単位で考えると緩やかに短期金利の利上げも段階的に戻して行く構想が考えられているようです。

これは急激な利上げが不動産ローンの支払いや中小企業の資金繰りに甚大な影響を与えることを極力さけるようソフトランディングを想定した金融政策の転換が望ましいと考える側が多数を占めている表れかもしれません。

黒田総裁の任期が来年到来しますが、次の日銀総裁は、前提として金融緩和のエグジットを念頭に金融政策の段階的転換がなされる可能性が大となるように見ています。


 

 

住宅ローン変動金利と固定金利の決まり方に注目

住宅ローン金利には、変動金利と固定金利の2種類があります。一般的に金利とは、短期の借入は利子が低く、長期借入ほど利子が高くなります。

これは、資金調達コスト的に考えると、長期に借入するお金ほど、不確実性が増すのでリスクがあがったり、また長く貸すのならば、貸し手としてはその時間分の手間暇の利益が欲しくなるという原理を考えると腹落ちすると思います。

当然、長期の借入となるときちんと返せるかという信用審査も厳しくなりますし、人によっては、固定金利が結構たかい金利となったり、その代わり変動で借り入れすれば現在の相場で1%前後で借り入れできるという審査結果が出るかもしれません。

これは、銀行への預け入れ金利に置き換えると分かり易いかもしれませんが、5年定期、10年定期といったように長定期ほど金利が高いケースで考えると分かり易いですね。

ちなみに、住宅ローン金利について変動、固定金利は下記の通りに決まるそうです。

  • 固定金利:(長期プライムレートを参考に決まる)
    • 新規10年物国債利回りを基準に決定

  • 変動金利:(短期プライムレートを参考に決まる)
    • 銀行が信用力の高い企業に短期(1年未満)の貸し出しをする際の金利を参考として決定

長期プライムレートと短期プライレートがどう決まるのかという決定要因を追加すると・・

住宅ローン
金利タイプ
参考とされる指標 決定要因
固定金利 (長期プライムレート)
新規10年物国債利回りを基準に決定
市場で取引される10年もの国債需給バランス
  • 需要があれば値上がりし金利が低下
  • 需要がなければ値下がりし金利が上昇
変動金利

(短期プライムレート)
銀行が信用力の高い企業に短期(1年未満)の貸し出しをする際の金利を参考として決定

日銀の政策金利にほぼ連動
  • 「無担保コール翌日物金利」

現在の金融緩和でゼロ金利政策と言われている感じのものは、変動金利、日銀が10年物国債の指値買いオペで長期金利を0.25%以内の変動幅に抑えようとしているのが固定金利と言う感じです。

当然、変動金利よりも、長期固定金利の方が割り高となるのですが、2022年11月現在の例をあげると

  • フラット35
    • (21年から35年固定)
      • 1.54% - 2.990%(上限)
        ※住宅ローンで一番低い想定される長期固定金利
  • 都銀の長期固定
    • (21年から35年固定)
      • 2.21% ~ 3%以上スタート
  • 変動金利
    • 割引金利を加味して
      • 1.7%-2%

と言う感じのようです。

年明けの日銀総裁交代後も、急激な利上げは経済インパクトが多くなるので、まずは長期金利の指値オペなどをとめながら、段階を経て量的緩和を引き締め、最終的に政策金利を上げるようなソフトランディングを検討しているような雰囲気を感じています。

実質ゼロ金利が続く日本では、変動金利が安い分、月額の支払い可能額から逆算して、結構な額の住宅やマンションを購入してしまっている人もいるようですが、来年度以降、長期金利は確実に上がってきそうです。

月々の支払を考えると、1%近く変動金利と固定金利差があると変動金利を選んでしまう人も多いのかもしれませんが、おそらく、政策金利の利上げについて、10年スパンで様子を見て開始するというよりは、1年から数年で緩和引き締め、2年、3年後に政策金利利上げ・・というペース感かもしれません。

住宅ローンは20年、30年借入するものなので、いずれにしても、現時点の低金利を想定して、背伸びしてワンランク上の物件を購入するのは控えた方が賢明なように思います。

どちらかというと、5年スパンで、仮に最終的に1%金利があがった場合、月額支払額が家計的に無理なく支払える額であるかどうか、融資担当に計算してもらって確認しておいた方が賢明でしょう。

購入する住宅の総額が高ければ高いほど(特にフルローンで身の丈以上の物件を購入している場合)、金利が数年スパンで最終的に1%あがると月額数万円、場合によっては7万以上支払い額が増える可能性もあるということです。

月々の支払の増額は、殆どの金融機関で1.25%以下でしか増えないなどキャップがありますが、いずれにしても、数年たって月々の支払が家計で賄えなくなるようなことになることとなるので、初期のシムレーションは慎重に行い計画を立てた方が安全ですね。

そういう意味では、金融政策が4月以降なだらかに変わっていく前提となるようならば、来年から再来年までがまだ購入しやすい状況がかろうじて残る・・・という状況となるように思えます。

ただ、変動金利と固定金利差を比べて固定が選べるようでしたら、購入する物件ランクをさげて固定金利を選んだ方が賢明かもしれません。



2022年11月02日 ネズミ1号:略称「T」
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