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米国2大IT企業増収・減益から読み解く米景気後退の足音

2022年10月26日 ネズミ1号:略称「T」
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グーグル持ち株会社とマイクロソフト 3か月決算 両社増収減益

米国では、記録的なインフレと景気減速への懸念からあ7月からの3か月間で企業の広告支出(主にネット)が大幅に減少したようです。

ネット広告については、広告から企業側のマーケティングランディングページへ直接誘導ができる特性からセールスプロモーション的な性格と、動画広告などではブランディングやマス媒体のような告知効果という性格両面があると言われています。

企業は景気動向、売上予測をもとに広告費を巧みに打っているので広告費の増減をみるとリアルな景気の様子が反映されていると言えるでしょう。


 

 

インフレ高止まりが続き、さらなる金融引き締め局面でダブル懸念

米国では、インフレ対策として利上げが進められています。FRBは景気後退を伴う前提でさらなる利上げを行うようですが、ゼロ金利から現時点で3%水準になっているようですが、インフレ率は高止まりしている状態のようです。

そんな中、FRBでは、来年3月までに4.5% 近辺まで引き上げる計画が議論されているそうです。

年末から年明けにかけてインフレ高止まりと金融引き締めによる資産価格の縮小というダブルパンチが米国経済に影響を与えつつあると言えそうです。

Google/Microsoft社の減益幅

グーグル 前年同期比

  • 売上:日本円で10兆1900億円 → 6%増収
  • 利益:日本円で2兆500億円 → 26%減収

マイクロソフト社 前年同期比

  • 売上:日本円で7兆3900億円 → 10%増収
  • 利益:日本円で2兆5800億円 → 14%減収

<Google社 減益要因>

<Microsoft社 減益要因>

  • パソコン需要の低迷
  • WindowsOS・Office365関連のライセンス収益減少

     +

  • 両社共通:ドル高によるアメリカ国外収益の目減り

Google社、Microsoft社ともにグローバルなエクセレントカンパニーで売り上げ比率の半分以がを米国国外の地域で占めていると言われています。

増収したが、大幅な減益という点で、グローバル単位では収益増も米国金融政策によるドル高により利益は大幅に減少しているとみることができます。

一方、米国内の売上については、インフレ懸念から減少しているという実態も見受けられます。

日本では、ユニクロが円安により過去最高益を上げていますが、ユニクロは、国内アパレルメーカーでは唯一、海外売上比率が高い企業です。

実際、国内売上は伸び悩んでいるとも聞きます。そういう意味ではユニクロもむじゃきに増益を喜んでいる訳にはいかないのかもしれません。

利益確保のために失業率が上昇する?

米国ITエクセレントカンパニー2社は両社とも売り上げは伸ばしているが、減収という状況です。

となると企業側としては、利益を確保するために人員削減などをすることになるのですが、これにより米国失業率がこれからあがることが予想できます。

金融政策による通貨高ー>失業率上昇ー>米国内需要の縮小ー>景気の大幅後退

と言ったサイクルが年末から年明け四半期にかけて予想できそうです。

巨大企業が上記のようなサイクルに入ると、関連企業や、米国内のサービス産業にも大きな影響がでます。

なぜならば、こうした企業で働く人の高額な給料が高止まりするインフレの中で購買欲を維持してきたともいえるからです。

また、こうしたエクセレントカンパニーの収益が減ることで関連企業、サプライチェーン、周辺産業もしわ寄せをくうのもあきらかです。

米国経済は年末から年明けにかけて後退局面に

このような状況か、FRBはまだ金融引き締めをつづけなかればならなくなりそうです。米国インフレ率は9ー10%台で高止まりしており、市場はそろそろ利上げペースが緩和されると期待している感もあるからだそうですが、こうした期待が利上げ継続判断を後押しするという悪循環に陥っているとも言えるかもしれません。

現在の状況を見る限り、年末から年明けにかけて米国経済は後退局面に入りつつあると言えそうです。

ドル高、他通貨安局面へ

日本、最近ではイギリスでも、通貨安は悪だという論調が高まっているようですが、これは米国経済後退局面で、米経済を下支えするような意図が働いているのかもしれません。

こうした中、イギリスではトラス政権が短命に終わってしまいましたが、陰謀論会話では、イギリスのEU非離脱派のクーデターだとも言われています。

日本は30年近くデフレが続いていますが、この局面で金融引き締めを行えば、確実に景気が悪くなってしまうのかもしれません。

逆に円安局面が続くと、何もしなくても増益となる日本の巨大企業は増え、周辺産業含めて賃金上昇をともなる成長が見込まれる世になるのかもしれませんが、来年以降、日銀総裁交代でどのような金融政策かじ取り政策がとられるのか注目ですね。



2022年10月26日 ネズミ1号:略称「T」
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