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「最後の買い手」米国が見捨てた世界経済、緩和縮小が追い打ちか?
bloomberg:今後、米国は孤立主義儀に走ろうとしているのかもしれません。ドル機軸というメカニズムを土台として、輪転機でドル札を刷りまくり、米国は世界中からモノを消費してきました。ブルムバーグの記事によると、米国の成長率が1ポイントあがると全世界の成長率を0.4ポイントも押し上げていたのだそうです。1%分の成長のうち4割が新興国や日本を含めた輸出国からの輸入やらなんやらでインパクトをもたらしていたということなのですが、金融バブルがはじけ、QEの縮小も、年明け3月秒読みとなった今、米国だけは、失われた数十年へ突入しないようさまざまなストラテジーを検討しているのかもしれません。
短期的に米国は、エネルギーで自給自足国へ?
ニクソンショックで、金本位制が廃止されてから、ドルが機軸通貨として流通できたのは、20世紀の文明を成り立たせている石油がドルで取引できる(ドルにペッグされている)という保障があったからだと言われています。我々の経済は、石油から作られる電気や、石油を使って動く乗り物があってこそ、耐久消費財やモノが製造され、都心部では、スーパーで食品が並べられ、消費することができるといってもいいでしょうね。そのため、中東エリアは常に利権に関わる緊張が20世紀は繰り返されてきたようです。イランの核開発が事実上合意されたらしいという情報やサウジアラビアも黙認したというような情報や、米国がシェールガス、オイルなどの掘削技術の発達で、とりあえずは、エネルギーはなんとかなるようになったという流れ。そして、中国や新興国から安い製品を輸入するのではなく、米国内に工場を建設し、国内で作って国内で消費する、または、海外へ米国から輸出するという流れもおきつつあるようです。
米国は製造業回帰を模索している!?
「アップル、米国生産宣言の本気度」の記事にもありましたが、アップル社も米国へ一部製造を移すというパフォーマンスをティム・クック氏がNBCインタビューで話したそうです。コモディティ化してきた電子機器に関しては、なかなか米国で製造した場合のコストが見合わないのかもしれませんのでこれは世界にむけての今後のプレゼンスなどの明示なのかもしれませんね。しかし、先日紹介した「スマホAndoridと同じ構図:Googleの次の標的は自動車産業!? 」で書いたような自動車産業の動きなどを見てみると、なんとなく見えてくるような気がしています。現在、製造業分野で先進成熟国が利益を出せているものは、ベンツやBMWといったような高級車やGoogle社のようなプラットフォームでルールを作って他国製造メーカーを従属させるモデル、航空機のような高度なアッセンブル経験やノウハウの必要なる領域や絶対的な信頼性が求められる医療機器分などです。
おそらく、既にコモディティ化してしまった電気製品や、情報機器などはソフトウェアやプラットフォームという分野でコントロールするような産業、コモディティ化の激しくなるであろう自動車分野なども同じような戦略、製造業という分野では、そうした付加価値をベースに、ライセンス化することやブランド化することで、高い米国人賃金でも十分に競争できるような枠組みが作られるのかもしれません。エネルギーや製造に必要な資源なども自給自足できるのであれば孤立主義に走ってしまえば別に毎年毎年GDPをあげて行くという際限のないラットレースをする必要はなくなるのかもしれません。
グローバル化というのは機軸通過ドルの前提で米国が推し進めた戦略、次なるグローバル化はバブル捻出ではなく健全なマネーを米国産業が吸収できるような仕組み?
グローバル化とは、これも又ルールを統一することで、どこの国ともビジネスをやりやすくすることだと思います。画期的な新技術が考案されると、製造などについては、コストが安く、品質が担保さえできれば、賃金の安い場所で製造すればいいのです。その製造には高度なノウハウや職人的な経験は必要なく、コンピュータ制御された機械がコアな部分は自動でやってくれて、人の手が必要なところだけ人が流れ作業でチェックしたり組み立てたりする感じです。新興国では、実はこうしたスキームの元となるようなオリジナルな基礎技術などまだ開発する基盤はできていないように思います。米国の大学の戦略をみていも、世界中から優秀な頭脳の発掘に余念がありません。今後はそうした人材も、自国へもどるのではなく、米国企業へそのまま就職斡旋されるようになるのかもしれません。高度な技術は高度な人材の確保があってこそということですね。そして高度な技術は特許ライセンスできちんと守るために、コモディティ化されにくい分野が今後作られて行くのかもしれません。そいう点でいう「孤立化」とは書かせていただきましが、これはどちらかというと他国へ投資するのではなく、自国の産業へマネーを吸い込む、(投資を呼び込む)という流れを作ろうとしているのかもしれませんね。ソ連冷戦時代を思い出しますが、今後は産業技術が過去の軍事技術のそれであったように、高度な国家によるガードがかかるようにも思います。
21世紀は、電子データの時代へ電子機器や情報端末だけでは価値が無くなる
科学技術と製造技術の発展は、確かに情報端末などがいきわたる土台を作るが、これからは、そうした端末郡を束ね、流通チャネルもしくは、情報チャネルとして活用できる企業が派遣を握るようになるのかもしれませんね。ビットコインなる架空のお金の話がありますが、これは中央銀行が存在しないなかで、お金をマイニングする人たちがいて、その電子コインを労働対価やサーバーリソースなどに交換できるといった紙幣を科学的な論部でサーバー上に展開しているもののようです。ただしその性格から、麻薬や違法物の取引として使われたり、1コインが何百倍も価値がでたりと投機対象となりつつあるような話も聞きます。物々交換の時代から最大の発明品は古代フェニキアやベネチア時代に考えられた荷為替にはじまった紙幣だと私自身考えていますが、紙幣ができたからこそ、経済が発展してきたともいえますね。ビットコインを見ていると、マイニングするための高度なCPUや専用機器みたいなものが出ているようですが、今後、コモディティ化しない産業という点では、今までの単なるものづくりの文脈とはかけ離れたようなまったく新しい発想が突如出現するのかもしれませんね。
数千万、数億の商品の値段は、1つあたり安いほうが、全国民が消費することができて経済に貢献できそうです。例えばその商品代金の80%以上が高度なものづくりや、研究開発をベースにしたものづくりスキームの代金になるようであれば十分雇用を生み出すことは可能かもしれません。残りの2割は、ブラックボックス化した製造ラインを期間レンタルということで貸してあげて、ライセンス生産するという形でしょうか?冒頭で述べた内容では、「米国の成長率が1ポイントあがると全世界の成長率を0.4ポイント押し上げる」が「米国の成長1ポイントにつき全世界の成長率0.2ポイント」になるようなイメージでしょうか?全世界の0.2ポイント分を米国内の雇用にまわすことを俯瞰して考えるとこいうスキームが実現できるのであれば、十分行けそうな気もしています。
これはよく考えてみると、F15やイージス鑑といった高度な軍事兵器などと構造が似ています。今後製造業という分野に回帰する米国は、まさにこのようなモデルを模索しているのかもしれませんね。素人考えで恐縮ですが、ブルムバーグの記事からいろいろ妄想してみました。
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