毎日新聞:住商がシェールオイル事業の事実上の撤退と2015年3月期におよそ2400億円もの損失を計上するそうです。
住友商事というと銅やニッケルなどの鉱石分野で強い商社というイメージがありましたが、シバクチのようなビジネスと言われていたシェールオイル開発事業を同社子会社を通じ米国開発会社と共同で2012年から足掛け3年間開発していたそうです。それが本年度に突然な事実上の撤退の発表。記事ソースによると「回収量が想定を下回る見込みになったので」が損失計上の理由だそうです。具体的には当初の見込みよりも地形が複雑で、効率的に採取できない判明したとのことですが、こいうことが分かるのに足掛け3年もかかるのかとふと疑問に思ってしまいました。さらに費やした損失は資材などを売却してもおよそ2500億円という巨額な額。サンクコストは早めに切るというはビジネスの鉄則ですが、優秀な商社マンが単なるシェール革命に踊らされた散々な結末だったのか?否か?ちょっと想像してみました。
シェールという泥岩にシェールガスやオイルが含まれていることは昔から分かっていたようですが、採掘が困難であり採算面から世界規模のオイルメジャーも参入には二の足を踏んでいたようです。しかし2000年代に入り新技術導入とともにシェール革命ともよばれる一種のムーブメントが演出されたのでした。
「シェールガス=安い」ではなく、「シェールガス=高い=需要サイドからするとそこまで高いコストで購入できない」というのが本来の姿です。シェール革命が画期的なものと見えてしまったのは、当時ベンチャーがどんどん参入する様などがメディアを通して全世界に流れたのも一因かもしれません。
一説には、シェールガス革命を推し進めるためには、原油代を上げる必要があることから、イラン、シリアをはじめとした中東危機が演出されたとも言われています。今現在でも、中東に対し、各国が空爆を行うような動きが出ているのも新しい動きとしてニュースなどで目にする機会も増えているのもその一つと言えるのかもしれません。
2012年というと住商などの日本の商社も資源バブルで高収益が出ている時期だったと思いますが、ある意味情報(インテリジェンス)分析力がかけていた、もしくは判断が甘かった素人ながらに考えがちですうが、もう少し妄想してみると、実は、原油高が演出されるシナリオに限界が到来し、政治やさまざまな高度な思惑が今年に入り急激に方向転換することになった(中東が落ち着く?)ということなのかもしれません。
小泉首相が昨日も原発反対というアピールしていましたが、これも歪んだ見方をすると、日本に高いシェールオイルを買わせるためのPRだという見方もできるかもしれませんね。
毎日の記事の最後にある投資判断、今後の資源事業のあり方について検証するとういう部分が気になりますね。
住商の損失計上、事実上のシェールオイルからの撤退の理由として、「地層が複雑で、効率的に採取が不可能だということが分かった」とありますが、ちょっと非効率(より多くのコストをかける)前提であれば、それなりの量の原油資源が眠っているというは確かなようです。要は供給サイドが提示できるコストと、需要サイドが購入できるコストとが均衡をとるには程遠いものであることが判明したということだと解釈できますね。
原油については、現時点でも十分すぎるほど値段があがった状態だと言えます。昨日の為替均衡が急激に変動する影響についての話と同じく、原油高が長い期間続くと、エネルギー供給・需要システムはコスト均衡へと向かうインセンティブが働きます。今まで研究開発コストが見合わないと思われていたような燃料電池などの開発もニーズの高まりに合わせて予算がおり、民間メーカーなども研究開発に参入するような事態がおきます。
高止まりした原油をこれ以上多く消費することはもはや経済の通りからして限界ということになると、水素ステーションなども普及する環境がととのうのかもしれません。
世の中の事件や動きなどをみる際に、一歩引いた視点でシナリオを想像してみると、面白いシナリオが見えてくるかもしれません。
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