2013年12月13日 ネズミ1号:略称「T」
かわら版,
時事・経済要点
東洋経済:アメリカは、今だGDP世界第一であり、世界最大のエネルギー消費国であることはご存知のとおりだと思います。20世紀の経済・文明は石油をエネルギーとして成り立っている文明です。よってロシア(旧ソビエト)やアメリカなど自国で石油が算出される国が軍事、経済面で覇権を握ってきたと言えます。例えば軍事面ですと、燃料となる石油がなければ航空機や軍艦、戦車も動かすことができないですし、経済面でいうと製品を製造するための工場も、火力発電で生み出される電力などのエネルギーなければ稼動しません。
金本位性をやめたニクソンショック以降、ドルは石油の決済通貨としてペッグされることで基軸通貨として 流通してきたと言われています。中東産油国から紅海、マラッカ海峡、インド洋、太平洋に海軍や軍隊を派遣しシーレーンを守ることやこうした協力な軍事力が 信用(担保)となってドルは基軸通貨として流通できたとも言われています。
シェール革命によりエネルギー自給国になることの意味
そんなアメリカですが、最近ではエネルギーの20%以上を中東産油国からの輸出に頼り、膨大な貿易赤字の根源になっているそうです。ここに来てシェールガス・オイルが自国のエネルギーを自給でいることになる意味について考えてみました。
大きく考えるとこれら3つがポイントではないでしょうか?
今、日本はロシアの天然ガスパイプラインを樺太から北海道へ引くとか、アメリカからシェールガスを輸入するとか、いや日本近海に埋まっているメタンハイドレートの研究を進めるだとかエネルギー政策についてはいろいろ節目にきているようです。
「ロックフェラー帝国が米国の原油輸出解禁に向けて動き出した」 の記事にも書かれていますが、現在のアメリカの法律では原油、天然ガスを付加価値をつけないまま輸出することは法律で禁止されているそうです。一方でエク ソンモービルなどは2015年までに米国が世界最大の産油国になるとも予想しているそうです。事実天然ガスでは既にロシアを抜き、シェールオイルでは、 ピークを迎えたサウジをもうすぐ抜く勢いだそうです。
現在カナダだけに原油輸出がみとめられているそうですが、これは自由貿易協定 があるからだそうです。しかし、カナダ自身巨大な産油国なので、あまり高く販売できず、現在米国ではシェールオイルの価格が暴落し、経営が厳しいもしくは 破産しそうなする会社もでてきているようです。
現在米国がいそいでいるTPPについては、ダブついた原油を非産油国であるアジア地域などに輸出す るという文脈も入っているのかもしれません。当然アメリカから原油を買うにはドル建てだということは想像できますね。中東のシーレーン警備から手を引き、 巨額の経費を節約するということは、中東から安全に原油をコストをかけて輸入することができなくことも意味します。よって、日本なども米国から高めの シェールオイルをドル建てで購入することになるのでしょうね。
ということは、基軸通貨としのドルのポジションは、TPP枠内というブロック経済圏では補完されるということになりそうです。そして赤字がなくなる米国収支を予想すると強いドル(ドル高)へなることも予想されます。一方で円は対ドルに対して安くなりそうです。
エネルギーが割高になった点は出てくると思いますが、米国への輸出インパクトは相殺できるレベルで増えるかもしれません。 ただ、現在の建築市場にみられるように、技術力をもった優秀な人材は10年にも上る円高とリストラで昔のような製造業のパワーはもやはもってなくなってい るかもしれません。
昔教科書で日本は加工貿易国だと教わりましたが、自給自足できる国に比較優位論的に買ってもらえるものを創り出すことができるかが今後 のポイントになるかもしれませんね。
追記:タイムリーにEIA(米国エネルギー情報事業団よりリリースされたアニュアルリポートで、2030年ぐらいまでの米国エネルギー産出予測データが公開されていました。
詳しくは、こちら「データで見る2020年アメリカが完全なるエネルギー自給国になるシナリオ」に書きましたのでご興味のある方はどうぞ。
2013年12月13日 ネズミ1号:略称「T」
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