ホーム
>
時事・経済要点
>
東洋経済:アメリカは、今だGDP世界第一であり、世界最大のエネルギー消費国であることはご存知のとおりだと思います。20世紀の経済・文明は石油をエネルギーとして成り立っている文明です。よってロシア(旧ソビエト)やアメリカなど自国で石油が算出される国が軍事、経済面で覇権を握ってきたと言えます。例えば軍事面ですと、燃料となる石油がなければ航空機や軍艦、戦車も動かすことができないですし、経済面でいうと製品を製造するための工場も、火力発電で生み出される電力などのエネルギーなければ稼動しません。
基軸通貨としてのドルとは
金本位性をやめたニクソンショック以降、ドルは石油の決済通貨としてペッグされることで基軸通貨として 流通してきたと言われています。中東産油国から紅海、マラッカ海峡、インド洋、太平洋に海軍や軍隊を派遣しシーレーンを守ることやこうした協力な軍事力が 信用(担保)となってドルは基軸通貨として流通できたとも言われています。
シェール革命によりエネルギー自給国になることの意味
そんなアメリカですが、最近ではエネルギーの20%以上を中東産油国からの輸出に頼り、膨大な貿易赤字の根源になっているそうです。ここに来てシェールガス・オイルが自国のエネルギーを自給でいることになる意味について考えてみました。
- シーレーンを守るための大規模な海軍などリストラし、経費を大幅に削減できる
- エネルギーがまかなえるので、輸入に頼らず、自国で製品を製造し、自国で消費するセルフブロック経済もどきが可能になる
- 財政赤字が減り、自国資源により工業・経済が成り立つ事になるので強いドルとなる。
大きく考えるとこれら3つがポイントではないでしょうか?
一方で基軸通貨としてのドルの性格はどうなるのか?
今、日本はロシアの天然ガスパイプラインを樺太から北海道へ引くとか、アメリカからシェールガスを輸入するとか、いや日本近海に埋まっているメタンハイドレートの研究を進めるだとかエネルギー政策についてはいろいろ節目にきているようです。
「ロックフェラー帝国が米国の原油輸出解禁に向けて動き出した」 の記事にも書かれていますが、現在のアメリカの法律では原油、天然ガスを付加価値をつけないまま輸出することは法律で禁止されているそうです。一方でエク ソンモービルなどは2015年までに米国が世界最大の産油国になるとも予想しているそうです。事実天然ガスでは既にロシアを抜き、シェールオイルでは、 ピークを迎えたサウジをもうすぐ抜く勢いだそうです。
現在カナダだけに原油輸出がみとめられているそうですが、これは自由貿易協定 があるからだそうです。しかし、カナダ自身巨大な産油国なので、あまり高く販売できず、現在米国ではシェールオイルの価格が暴落し、経営が厳しいもしくは 破産しそうなする会社もでてきているようです。
現在米国がいそいでいるTPPについては、ダブついた原油を非産油国であるアジア地域などに輸出す るという文脈も入っているのかもしれません。当然アメリカから原油を買うにはドル建てだということは想像できますね。中東のシーレーン警備から手を引き、 巨額の経費を節約するということは、中東から安全に原油をコストをかけて輸入することができなくことも意味します。よって、日本なども米国から高めの シェールオイルをドル建てで購入することになるのでしょうね。
ということは、基軸通貨としのドルのポジションは、TPP枠内というブロック経済圏では補完されるということになりそうです。そして赤字がなくなる米国収支を予想すると強いドル(ドル高)へなることも予想されます。一方で円は対ドルに対して安くなりそうです。
エネルギーが割高になった点は出てくると思いますが、米国への輸出インパクトは相殺できるレベルで増えるかもしれません。 ただ、現在の建築市場にみられるように、技術力をもった優秀な人材は10年にも上る円高とリストラで昔のような製造業のパワーはもやはもってなくなってい るかもしれません。
昔教科書で日本は加工貿易国だと教わりましたが、自給自足できる国に比較優位論的に買ってもらえるものを創り出すことができるかが今後 のポイントになるかもしれませんね。
追記:タイムリーにEIA(米国エネルギー情報事業団よりリリースされたアニュアルリポートで、2030年ぐらいまでの米国エネルギー産出予測データが公開されていました。
詳しくは、こちら「データで見る2020年アメリカが完全なるエネルギー自給国になるシナリオ」に書きましたのでご興味のある方はどうぞ。
前ページに戻る
かわら版
,
時事・経済要点
おすすめ記事
その他の関連記事
-
|||
政府はエネルギーインフレがますます加速と認識:賃貸経営のLPガスインセンティブ是正法案
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
202X年世界経済崩壊で株価は1/10まで下落する可能性
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
成長への期待価値から収益重視の時代に・・
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
消費税しくみとインボイス制度について調べてみた
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
企業価値判断基準に変化:ハイテク企業の投資家評価は成長から利益重視へ
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
無料が前提だったSNSサービスも景気後退ともにフリーミアム化が推進される
かわら版
,
スクラップ
,
時事・経済要点
-
|||
配当も利子もつかない仮想通過の暴落が止まらない
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
景気をけん引してきたGAFAをはじめとした巨大IT企業で不採算部門の見直しが加速する先に見えるもの
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
テスラ株暴落、米国IT企業の株価下落と赤字体質脱却リストラから見るリセッション局面
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
今後、住宅ローン金利はどういったペースで上昇するのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
米国2大IT企業増収・減益から読み解く米景気後退の足音
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
ポンド安でEU離脱した英国の一人勝ちとなる可能性?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
行きすぎな円安は悪い論と近隣窮乏化政策(Beggar thy neighbor)
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
最近目にする空売り系記事は米株価下落相場のポジショントーク!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
換金を急ぐ売り手と突然いなくなる買い手:バブルはある日突然崩壊する
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金利を下げて、タダに近いコストにしても、日本では資金需要が起っていなかった!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
株・土地バブルの為に金融引き締めを行うと経済全体を崩壊させることになるのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金融機関から借り入れ前提の新規アパート経営はもはや成り立たなくなりつつある!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
そこまでインフレでない日本、でも住宅ローン金利上昇は避けられない!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
半導体バブルはピークアウトするも、なぜ新車納車を1年以上待つ事態が起こっているのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金融緩和がはじまって20年:不動産価格は2021年~2022年前半までがピーク
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
2022年末から来年にかけて着工の新築住宅価格が急上昇!?-現建築コストは既に3割近く上昇
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
資材高騰で、価格決定権は販売店からメーカーが握るようになる!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
低金利が続いた住宅ローン金利の今後について調べてみた
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
業種で2局化するテレワーク 6割テレワークが進む業種とオフィス回帰がすすむ業種
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
四半世紀続いた米国スーパーバブル崩壊がはじまっている?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
2022年4月から首都高料金値上げ:35.7km超えで普通車1950円
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
道路の街灯や信号機の電気代は誰が払っているのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
全世界マーケットで脱エンジン・EVは非現実なことがわかってきた!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
日本の財政は破綻する可能性はあるのか!?低い給与水準がインフレを防いでいる!?
かわら版
,
時事・経済要点