techcrunch:Pinterestが、はじめて外部APIを公開したそうです。Zappos(ザッポス)、Wallmart(ウォルマート)、Disney(ディズニー)、ELLE(ファッション誌)など著名企業に対して提供されるそうですが、どういう背景でAPIが活用されるのかZapposラボとZapposPinPointing、zapposラボ(zapposのR&Dサイト)で紹介されていたソーシャルショッピング関する記事をもとに紐解いて見ます。zapposラボなどを見ると、大手ECサイトや著名ブランドファッション関連企業にとって、オンラインショッピングという観点では、ソーシャルをどう活用するか、流行のソーシャルショッピングが本当に購買に結びつくのか?といった壁にぶち当たっているそうです。端的にいうとソーシャル経由の売上げが頭打ちになっているということです。各社どのようなソーシャルを活用すべきか試行錯誤をしているようですが、その中で、Pinterestを活用したレコメンドや売れ筋的なコンテンツを活用することで、オンラインレピュテーションやソーシャルな拡販ができないかという試みを開始することになったようです。つまり、著名企業が名を連ねた壮大なる実験ですということですね。
「Want to get people shopping socially? It might be harder than you think(ソーシャルからショッピング客を誘導するというのは考えているほど容易ではない)」にザッポスラボで紹介されていたこの記事は、ファッションブランドやデジタルブランド企業がオンラインマーケティングにおいて、どうブランドや商品をアピールし、ユーザーの力を駆りながらお買い物の後押しができるか各社試行錯誤している様子が伺えます。
なんだかんだいっても、消費者の立場からすると、大手ECサイトに求める事は、「欲しい商品を安く、すぐに購入し、気に入らなければ無料で返品できる事」が主たるニーズのようです。こちらの記事でも紹介しましたが、一般的に消費行動については、4つのタイプに分類されると言われています。
1.利便性消費 2.安さ納得消費 3.プレミアム消費 4.徹底探索消費
Zapposなどファッションを取り扱うようなコマースサイトにおいても、サイトでどういうこコーデがいいのかという滞在をするようりも、あらかじめ買うものが決まっていて、明日のお出かけ用のブーツがすぐに欲しいといった利便性なニーズ用途に使われることが多いそうです。そして、消費者が認識しているZapposの特徴は、評判が良いとされているサポートではなく、気に入らなければ無料で返品できるというこれまた利便性用途という事です。
通販番組やウィンドウショッピングしている時と違い、オンラインショッピングでは、かなり理性的な心理で消費者は行動しているようです。PosmarkやPinterestなどはエンゲージメントが強いコミュニティが形成されていますが、Pinボタンやlikeを押したからといって購買にどう結びつくのか実は立証されていないそうです。つまりユーザーは、プラットフォーム自体にエンゲージしているのであって、その中のコンテンツについては、あくまでも、面白いコンテンツだという事。そこから購買に結びつくまでには、ROI観点からは若干気の長くなるようなプロセスが入ってくると言うことなのでしょうね。数千万円もするような不動産などなら別ですが、数十ドル-数百ドルの商品の販売という点では、利益率を考えるとマーケティングコストはペイしないのも分かります。
ニッチ詳細を扱うような「Lululemon(ヨガスタイルの服の販売サイト)」「Modcloth(米国のインディーズ系セレクトショップ)」「NastyGal(新鋭デザイナーアイテムやヴィンテージファッションの販売)」サイトではコミュニティがうまく機能するそうです。ニッチなターゲットに特化することで、販売サイト自体にエンゲージメントやアフィニティが生まれやすいという事なのでしょうね。
Zapposがトライした事は、Pinterestのレコメンドエンジン(成功したとはいえないようですが)やユーザーによるキュレーション、Twitterなどの呟きをクラウドソースとしてレビューに活用するといった内容だったそうです。Zapposのディレクターによると、大手通販サイトが試みているソーシャルショッピングについては、結構トリッキーなものが多いとの事です。
今回のPinterestAPIは、リアルタイムデータストリームを活用し、通販サイトでもっとも多く「ピンされたアイテムリストを作る」ことができるというもの。
これは結構微妙ですが、Pinされたプロダクトとは、売れたものではなく、、ユーザーが「これは面白い」とか、「いいかも!」と思ったもののランキングです。実際に購入して「よかった」というデータではないので、買ったか買わなかったは別として、「ウケた」ものランキングとなります。トラフィックは生まれるかもしれませんが、これが実購買に結びつくか、これからの動向が楽しみです。
ちなみに、ELLEオンラインは、「Pineterstオブセッション(Pinterstで話題・熱狂アイテム)」というコーナーを立ち上げる予定、Zapposでは、「Our Top pins today(今日のピンされたトップ○○)」というコーナーを立ち上げるようですね。PinterestによるとこのAPIは無償で提供し、Pinterestの見返りは、今Pinterest利用者でないトラフィックが得られる事とメガECサイトやブランドサイトへ露出ができる事だとしています。ただ、今後この「これは面白い」とか、「いいかも!」ランキングが売上げにつながることが立証されると、マネタイズできる一つの要素として有望な兆しとなるかもしれません。ちなみにPinterestはマネタイズはまだのようですね。未だにシリーズAというステータスですが、投資家たちはあとどれぐらいと思っているのでしょうか?
以下WSJ記事より
ピ ンタレストは今年、投資家から5億ドル(約500億円)余りを調達した。直近では米フィデリティ・インベストメンツが主導した10月の資金調達ラウンド で、同社の価値は38億ドルと評価された。こうした資金調達により、ベン・シルバーマン最高経営責任者(CEO)はビジネスモデルを見いだす必要性に一段 と迫られることになった。
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