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「フランス国債格下げについての陰謀」:構造改革というのは、たいがい自由化を湾曲した表現であり、その国をカモるための方便。
現代ビジネス:ポール・クルーグマンはプリンストン大学教授でノーベル経済学賞をとった方ですが、実は彼はNewYorkTimesにコラムを執筆しています。私もたまに目にするのですが、今回はS&Pなど格付け機関の茶番を非難するといったショッキングな内容です。1年前エコノミスト誌では「フランスはヨーロッパの真ん中にある時限爆弾」と称されたようですが、今回S&Pによるフランス格付けが下げられたそうです。それも大々的に報じられたようですが、クルーグマン曰くこの格下げは政治文脈により下げられたという事だそうです。
セイフティーネット解体を始めた欧州連合と真逆の政策を採るフランスのポジションは?
冒頭でも紹介したとおり、S&Pによりフランスの格付を下げたことが大々的に報じられたそうですがフランスの債権借り入れコスト(金利)はほとんど動かなかったそうです。
今欧州連合では、セーフティ・ネットの解体を求める機運が高く、特にギリシャをはじめスペイン、ポルトガルといった次は危ないあおられてる国々ついては、緊縮財政、セーフティネットへ投入する財源を減らし、国民に痛みをという流れが主流だそうです。
そうした中、政府の出産奨励策、手厚い医療保険対策など手厚い対策を施すことで、国民の不安は消え、出生率も体格なり、人口の高齢化という成熟国特有な長期的な問題も解決されつつあるそうです。
財政面においても、特にフランスが悪く言われる理由も見当たらないそうです。フランスの施策は、不況時に増税し(とれるところからきちんと税金をとり)、きちんとした将来への投資を行うという施策だそうです。
IMFの調査でも、「不況時に財政削減をすると逆のことが起こる。一時的な増税のほうが歳出削減よりも被害が少ない」といっているそうです。これは、低所得者に苦痛を推し進めるのではなく、富める層から増税し、社会全体がきちんと働け、モノを買えるようにするという施策とも言えますね。
「成熟国では健全な経済成長はもはやありえない!? 世界が日本流の長期停滞に入る恐れも? 」の記事でも書きましたが、GDPと言う観点でいうと、普通の人が普通に働き、普通にモノがかえることが経済底上げに繋がる。100年以上前に書かれたゴッホの絵が5億円で売れても、現代の社会で生産者は恩恵をうけれるわけではなく、経済効果はあがらないということですね。
時価総額でMicrosoftを一時期抜いたAppleでさえ、本来米国本国に払うべき法人税を払っていないと話題になりましたが、緊縮財政により弱者をいためつけることは、経済全体にとってはマイナスであり、それよりも、潤沢に内部留保している強者から一時的に増勢して庶民を活気付けたほうがいい方向に進むとクルーグマンが述べているのだと読ませていただきました。
フランスは、貧しく不運な人々に苦痛を押しつけることなく、財政上の責任をとるという、許されざる罪を犯した。したがって罰して当然、というわけだ。
紹介した記事中にこのような皮肉もかかれていますが、今の日本を見ると、プチバブルを演出するために、
「歳出削減が増税に勝る」→「歳出削減と庶民からの増税」
といった一番きつい政策をとっているようだとも言えるかもしれません。アベノミクスで有利なのは大企業と、マネーゲームで稼ぐ海外投資家や出口戦略を模索する諸外国ということになるのでしょうか?
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