ホーム
>
時事・経済要点
>
「もう限界か!?収益性よりも成長材料重視が加速させていた~カネ余り×ITバブル~の終焉は近い!?」でなぜ金融緩和は出口戦略を取らざるを得ないのか書きましたが、今日は安倍首相があたらしい三本の矢の一つとして掲げた名目GDP600億円の件について考えてみました。GDPを現在のおよそ460兆からおよそ1.3倍の600兆にするという目標は、インフレターゲット2%を掲げた金融政策主体の目標とちがい、60年代に池田内閣が掲げた所得倍増計画的な響きがある点が注目するところかとふと思ったのですが、
金融政策によるインフレ―ターゲット2%から名目GDPを目標としたことの意味
1960年代に池田勇人内閣の所得倍増計画がありました。この政策の基となった考え方は、国民総生産は労働力の大きさと資本の大きさで決まるとされていますが、当時は4500万人の質の高い労働力があり資本もそれなりにあったようですが、その質の高い労働者者の多くが能力不相応な低生産性の現場にいるとして、休眠状態に置かれていることを改善しようとする政策だったようです。
簡単に言うと生産性の高い職場を作り出す速度と、それを支えるための設備投資という組み合わせで10年もたたずしてGDPが2倍以上にもなったということのようです。
池田内閣の「所得倍増計画」WikiPedia
確かにに当時は高度成長期だったたとか、円安だったとか言われるかもしれませんがそれでもなお1961年代といえば、日本が戦後輸出を開始しはじめてある程度ルイス転換点を迎えた後ぐらいのタイミングだったのはないかと個人的には考えています。
イメージで言うと通産省、産業界、政府との護送船団方式による市場創造の手厚いサポートと革新的な技術に対する積極的な投資の奨励や設備投資の為の金融政策(いまでいう銀行持合い性など)伝統的な日本型産業界の構造が形作られた時期というのは1960年代から70年代だったようにも見えます。
当時のそうした投資・対策の中から、ICカイロやトランジスタなどを応用したハイテク産業が日本で起きる素地ができたとも言えそうですが、その素地があったからこそ1980年代から90年代にかけてハイテク産業で日本は世界を圧倒する強さを誇れたのかもしれません。
今の日本が置かれた状況は、1960年代当時の状況と環境条件はちがっても実は課題はそんなに変わっていない!?
現在の日本のGDPと他国との比較チャート

当時は戦後に生まれた団塊ジュニア盛大が社会にでた時期とかさなり豊富な質の高い労働人口は確かに多かったと思いますが、現在は豊富な質の高い労働者がいても、そもそもその能力を生かせる生産性の高い職場が日本国内になくなっているという見方ができそうです。生産性は一見高そうに見えて実は高くなく、業務時間の数割をネットサーフィンしているようなホワイトカラーな人も多くいるかもしれません。無駄を省くというかどちらかという市場を縮小させるようなビジネスというか、タコが自分の足を食べるようなビジネスが多いにように見えてしまうのは気のせいでしょうか?
今後GDPを600兆円にするというのなら、その昔の製造業やハイテク産業、現在のITに近しい新たな需要を生むような革新的な商品やサービス、マーケットを想像すべく高い生産性の職場を用意することが日本が今後少しでも浮上するためのヒントとなるのかもしれません。
そして、重要なのが、ストックブローカーが喜ぶような金融緩和によるバラマキから、高い生産性のある職場を用意するための実態のある設備投資にマネーが還流すると、実体経済も大きくなり、GDPも増えることになりそうです。
金融緩和を世界2番目の規模で行っているジャパンマネーがめぐりめぐって米国証券市場や海外投資家の儲けを助けるだけの施策に使われるのでなく、国内にリスクある新事業やビジネスへ積極的に投資ができる環境を整備したなら、5年で社会の雰囲気は変わるように思うのですが、オリンピックまでどういう政策がとられるようになるのか注目ですね。
前ページに戻る
かわら版
,
時事・経済要点
おすすめ記事
その他の関連記事
-
|||
成長への期待価値から収益重視の時代に・・
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
消費税しくみとインボイス制度簡単に言うと...
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
企業価値判断基準に変化:ハイテク企業の投資家評価は成長から利益重視へ
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
無料が前提だったSNSサービスも景気後退ともにフリーミアム化が推進される
かわら版
,
スクラップ
,
時事・経済要点
-
|||
配当も利子もつかない仮想通過の暴落が止まらない
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
景気をけん引してきたGAFAをはじめとした巨大IT企業で不採算部門の見直しが加速する先に見えるもの
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
テスラ株暴落、米国IT企業の株価下落と赤字体質脱却リストラから見るリセッション局面
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
今後、住宅ローン金利はどういったペースで上昇するのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
米国2大IT企業増収・減益から読み解く米景気後退の足音
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
ポンド安でEU離脱した英国の一人勝ちとなる可能性?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
行きすぎな円安は悪い論と近隣窮乏化政策(Beggar thy neighbor)
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
最近目にする空売り系記事は米株価下落相場のポジショントーク!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
換金を急ぐ売り手と突然いなくなる買い手:バブルはある日突然崩壊する
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金利を下げて、タダに近いコストにしても、日本では資金需要が起っていなかった!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
株・土地バブルの為に金融引き締めを行うと経済全体を崩壊させることになるのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金融機関から借り入れ前提の新規アパート経営はもはや成り立たなくなりつつある!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
そこまでインフレでない日本、でも住宅ローン金利上昇は避けられない!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
半導体バブルはピークアウトするも、なぜ新車納車を1年以上待つ事態が起こっているのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
金融緩和がはじまって20年:不動産価格は2021年~2022年前半までがピーク
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
2022年末から来年にかけて着工の新築住宅価格が急上昇!?-現建築コストは既に3割近く上昇
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
資材高騰で、価格決定権は販売店からメーカーが握るようになる!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
低金利が続いた住宅ローン金利の今後について調べてみた
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
業種で2局化するテレワーク 6割テレワークが進む業種とオフィス回帰がすすむ業種
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
四半世紀続いた米国スーパーバブル崩壊がはじまっている?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
2022年4月から首都高料金値上げ:35.7km超えで普通車1950円
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
道路の街灯や信号機の電気代は誰が払っているのか?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
全世界マーケットで脱エンジン・EVは非現実なことがわかってきた!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
日本の財政は破綻する可能性はあるのか!?低い給与水準がインフレを防いでいる!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
日本でスタグフレーション!? 円安、国内物価上昇も所得はあがらないという悪循環がすぐそこまで迫っている!?
かわら版
,
時事・経済要点
-
|||
日本でも量的緩和をしているはずなのに日本の消費者物価指数が低いのはなぜ?
かわら版
,
時事・経済要点