2015年01月03日 ネズミ1号:略称「T」
かわら版,
時事・経済要点
三菱マテリアル:2014年12月に入り、1バレル80ドルを切るような原油安が顕著となってきています。2008年代のピーク時が1バレル=147ドルから比べると約半分の価格になった訳です。原油価格については、1970年代は、2-3ドル台。二度のオイルショックで30-40ドル台へ急騰、2008-10年代には、金融バブルの崩壊がありましたが、中国をはじめとした新興国の需要増への期待から100ドル台を維持するようになったというのが流のようです。「原油100ドル時代」が到来していた訳です。
冒頭の価格の流れも、実際には、需要、供給バランスという材料をネタにヘッジファンドやエネルギー先物などでの投機マネーが原油のプライシングを大きく左右しているのが実態だそうです。つまり実際の需給バランスというよりは、こんな事が期待できる!とか、こんなマイナス材料があるから..みたなネタをベースに先物ヘッジが行われるのです。
そもそもヘッジするということは、将来のリスクを予測して、あらかじめ損益を害さないような価格を予約するような活動だと考えてみると、一度振り子が大きく振れると、その対象の価格というのは短期では大きく振れてしまうという事なのでしょう。ただ、中長期で見ると、その振り子の重さや、振り子を振るきっかけとなるような加速度に影響する事項(実態経済)に着地すべく、振動幅は安定するという感じでイメージしています。
新興国で原油需要の原動力となっていた中国では、ルイス転換点を迎えたと言われています。ルイス転換点とはそれまで農村などの安価な余剰労働力をベースに都市部で付加価値の高い工業製品を製造する単純労働により経済が発展してきた流れが変わるというもの。
一人っ子政策により、2011年に人口のピークを迎えた中国などでは、これから30年あまりの間に超高齢化社会が到来するような情勢です。
新興国というとインドなども挙げられますが、カーストやいろいろな政治情勢、インフラの課題などまだまだクリアしなければならない課題があるようです。
このような実態がベースにありながら、サウジアラビアをはじめとするOPECでは、「原産は利益にならず、1バレル=20ドルでも」といった発言をしていますし、米国でもシェールオイルの生産を加速させているというニュースを良く目にします。シェールオイル・ガスの採算ラインは、1バレル=70ドルと言われているようですが、20世紀から21世紀初頭の経済システムの根幹を担っているエネルギーである原油の価格が70ドルを切るようになると、中東やロシアなど現在主な原油生産国を取り巻く地政学的な影響も出てくるということもなんとなく予想できそうです。
普通の合理的に考えると、モノの値段が下がるのであれば、供給量を下げて、価格を維持するというのが合理的に見えるかもしれませんが、現在原油を取り巻く環境を考えてみると、新興国の需要予測が中長期的に大幅に下落するかもしれない。技術確認により、ハイブリットと省エネトレンドがさらに加速する。長期的な視野に立つと、そもそも原油需要の総量が今の半分にまでなるかもしれない。そうなると、生産設備、現在の体制を維持するための顧客がそもそもいなくなり、生産設備が形骸化し、生産から撤退するようなことも懸念される。
そうなると、マーケットに残った生産者が、その後の市場の価格をコントロールでき、利益を独り占めできるという算段なのかもしれません。だからこそ、現在、ゲーム的な理論でいいうところの非協力的なゲームにあるようなナッシュ均衡状態であることが想像できますね。
数か月スパンでは売り越したファンドが底値で買うタイミング、そして空売りで儲けるタイミングを狙っているようですので、上昇、下降を繰りかす様相のようですが、長期的な視点に立つと、次なる化石燃料への需要が期待できる新たなネタが出ない限り、安値で安定して行くのかもしれないと、個人的には予想してみました。
現在ハイオクが140円前半位ですが、120円代ぐらいに安定するようなイメージでしょうか。
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