moneyvoic:「パナマ文書で世界の富裕層を「脅迫」しはじめたアメリカの苦境=高島康司 」この記事によると、タックスヘブンに集中している超富裕層の資産の概算は21兆ドル(日本円で2400兆)近くにも上るそうです。この2400兆円という額がどれほどの額なのか世界経済のマネーの流通規模に照らし合わせるとわかるのですが、ニューヨーク証券取引所の株価時価が16.7兆ドル、東京証券取引所が3.5兆ドル、全世界のGDPが45兆ドルということで、人類の資産のおよそ半分ということになるようです。
米国では2010年に「外国口座税務コンプライアンス法(FACTA)」制定され、2013年から施行されたそうですが、この法はアメリカ市民権を持つすべての人々に保有する金融資産を米国税庁(IRS)に報告することを厳密に義務づけるというもの。米国内のみならず海外の銀行も米国民の口座はすべて米国税庁に報告しなければならないという法律だそうです。
そしてもし米国民が国外のタックスヘブンい秘密口座をもっていることが未報告のままバレると巨額の罰金がかされるという強制力もともなっています。
この法律の施行後、口座主の秘匿を守ることで知られているスイスの銀行当局に対して、米国が情報提供を要請した件については、ニュースでも話題になったのは記憶に新しい限りです。
「スイス、銀行の顧客情報提供で米と合意 脱税巡る攻防決着へ (日本経済新聞)」
記事のタイトルだけみると、脱税はよろしくないから協力しあいましょう!という内容に見えますが、実態は水面下きなくさい攻防戦があったことがうかがいしれそうな内容です。
スイスの銀行は顧客情報を提供し一定の罰金を払えば、脱税ほう助罪で米当局に起訴されることを免れ、厳しい刑罰を回避できる。両国は脱税資産の情報提供を巡って激しい攻防を繰り広げていたが、決着に向かう見通しだ。
スイスは銀行法で、国外の捜査当局を含む第三者への顧客情報の開示を禁じている。このため、銀行が脱税ほう助容疑で捜査を受けても、司法取引に応じて当局に協力することはできなかった。
米当局は金融危機の後、スイスの銀行にある脱税口座の追及を強化。今年1月には、米当局に脱税ほう助を認めたスイス最古のプライベートバンクが、巨額の罰金を科されたため廃業に追い込まれた。
スイス政府は5月、捜査を受けた銀行が米当局に情報を提供することが可能になる法案を発表した。しかしスイス議会は、司法取引に応じても破綻に至るような巨額な罰金を科される可能性があるとして、同法案を廃案にした。
このためスイス政府は、現行法の枠組みで米国の要求に応じることが可能な仕組み作りを進めていた。米司法省によると、スイスの銀行が脱税ほう助を認めた際に払う罰金は、隠し資産の口座が設けられた時期によって、隠し資産額の20~50%まで変わる。
アメリカは「外国口座税務コンプライアンス法」を楯にして、他の国々の金融機関に口座内容などの情報をすべて開示するように求めるそうですが、アメリカ国内の金融機関の情報は他の国に対して一切公表しないのではないかと言われています。
というのは、スイス事案後、これまでペーパーカンパニーの巣窟といわれていた香港やシンガポールなどを含め97か国の国が本法案に基づく協定に調印したそうなのですが、アメリカはこの協定には入っていないそうなのです。もちろん日本も調印しているとのこと。
そういう意味では「外国口座税務コンプライアンス法」を成立させた米国はスイス銀行当局に対してスイスにあった数個のプライベートバンクを廃業へ追い込むという茶番を演じつつ、97か国もの国と裏で足並みを整えたというのが想像できてしまう感じです。
「外国口座税務コンプライアンス法」を成立させた米国はスイス銀行当局に対してスイスにあった数個のプライベートバンクを廃業へ追い込むという茶番を演じつつ、97か国に及ぶ国々に対して、もうおいしいことはできませんよと足並みをそろえ、今度は実名入りのパナマ文章で超富裕層に対して、米国の口座に資金を移して、米国内で運用しないと蹴落としますよという警告がなされたという見方もできる訳です。
これら4つの州では法人地方税と住民税がないそうですが、これに米国内金融機関なので金融当局からの求めに対し口座主の口座情報の公開に応じる必要がないとなると、ケイマン諸島やその昔のアイルランドのように既にタックスヘブンの条件が整っているといっても過言ではなさそうです。
2400兆円とも言われてる超富裕層の資金。リーマンショックによりはじけた金融資産は3000兆円ともいわれていたようですが、それに匹敵する規模の金融資産を超富裕層は抱えている訳です。
本当のお金持ちは金融恐慌が来る前に対策をしていて、損をするのは一般投資家なのだなというのが分かるマクロな数字ではあるのですが、次なる米国は今後も超富裕層の資金を運用へまわすことで、新興市場としてさまざまなイノベーションを起こしていきながら、ITのような新たな雇用を生みだし続けることを考えているのかもしれません。
次なる投資のキーはベイズ統計学の推移を集めた多層機械学習(ディープラーニング)によるAI(人工処理判断)分野や量子コンピュータ、IoTなどの分野などガートナーのハイプサイクルを眺めながら今からしかける大学や学生は専攻分野の見極めに余念がない感じかもしれません。
※ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2015年」
2400兆円もの資金の何割かが、米国を中心とした最先端テクノロジー分野で投資され、新たな需要を作り上げることが予想されるとなると、先進国(日本も含まれる)や中国、ブラジルなど経済成長いちじるしい発展途上国で蓄財された資本が次なるバブルへ向けて運用される準備が着々となされていることも容易に想像がつきそうです。
かといって株価があがり、景気が絶頂になってからの参入はよいカモにされるリスクを鑑みるとこれに一般の方が参加するか否かは今ならまだありかもという時期かもしれませんということだけはいえそうです。
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