東洋経済:「ITのこれから:武器に進化させる戦略を持て」と言う対談を読んで思ったのですが、この中で、「日本人は戦略コンセプトを描くのが苦手、すぐに事例を探す。」「人がやっていることはやらないというビジネスの進め方ができない」という説に共感と危機感を感じました。別の話になりますが、検索エンジン、トロン、フィーチャーフォン、LIMO、ゲーム端末などオープン組み込みの取り組みなど、実は日本でも随分に新鮮的な試みがあったと思うのですが、失われた10年もしくは20年の間にすっかりこうした事はなくなったように思います。今日は何故、日本でAndoridやiOSを乗せたスマートフォンが生まれなかったか、今後日本でイノベーションは起こるのか、今企業で働いている視点でいろいろちょっと考えて見ました。
10年ほど前、palmOSで動く電子手帳のような端末はすでにありました。私も数個そろえて使っていました。ペンタブレットでスケジュールやファイナンス管理したりしていました。現在のappstoreのようなものもあり、ほぼ今のスマートフォンと同じモデルが出来上がっていました。当事は個人のケータイと会社の業電ケータイ、palm、そいてノートと結構面倒だと思っていたのを今でも鮮明に覚えています。何故palmに携帯通話チップを入れないのか不思議でした。
※当事のPDA端末。左からPlam(米Palm社)、CLIE(SONY)、ZAURUS(SHARP)
PDAはPersonal Digital Assistantsの略。この略からも、単なる道具としての発想しかなく、ケータイと融合し、Assistantから主要端末にという発想が当事の縦割り企業組織ではできなったのかもしれません。
その内、RIM社などがbrackberryなどを出し、確か日本でも海外向けGSM端末としてMotorolaから出たM1000 がドコモからFOMA仕様で発売されたのを覚えています。これはと思い購入を検討しましたが、データ通信が確かパケ放題に対応していなかったかなにかで、やめてこうという事になったと思います。
当日はパケホーダイはまだまだ高く(今となってはスマホのパケーホーダイの方が高額ですが)、またFOMAと呼ばれる3G前のセルインフラではせいぜい数十Kバイトというのがデータ通信速度でした。フルブラウジングがネックなのであれば、外ではメールやスケジュールの同期といった用途がほとんどので、WiFi機能などつければいいのに思ったものです。そうすれば、スカイプアプリや、YhaooIMなどでWiFiがつながっている時だけPCと同じようにチャットもできるし便利なのにと..
でも、当事のキャリアはそいうことは考えなかったようです。なぜならば、端末メーカー、セルインフラ、通信インフラ、課金インフラ、iモードなどといったキャリアによる垂直統合型のプラットフォームモデルでガチガチだったからです。日本では世界に先駆けてケータイインターネットが進行しており、成功モデルとして自負していた当事、PCインターネットは秩序のない無法地帯だという雰囲気があったように思います。
しかし、NTTドコモは、ヨーロッパをはじめ北米に1兆円近い投資をして日本のFOMA通信方式やi-modeモデルを普及させようとしましたが見事に敗れ去りました。
iPhoneが発売された当事、日本ではケータイキーを打つ文化が寝ずいているでタッチパネルなど普及しないといった論調もメディアにはありました。ましてやWiFi機能が付いているのは、ブラウジングなど無理があるスペックだからだとまで言っていたように思います。
ただし、スティーブジョブズは僕らのようなニーズにきちんとこたえてくれたと当事おもたものです。
まさにiPhoneなどはこういう事だったと思います。SONYがウォークマンでiPodに負けたのも、当事画期的な圧縮技術して、4分程度の楽曲をわずか4,5MBになるMP3が流行り始めた時期です。PCではWinAmpなどで使っていましたがこれがウォークマンで持ち運べたらといつも考えていました。日本では著作権を侵す悪の枢軸のような見方がされていたと思いますが、もっからMDプライヤーなるものばかり作られていました。でも今MDってもうないですよね。そんな当事出たのがiPod。コンセプトは、「あなたのもっているCD楽曲数百曲を常に持ち運べる」だっと記憶しています。
当事の僕らからすると、iPodは斬新なんかでなく、mp3に対応してくれた!という感覚ですぐに飛びついたものです。
こうしてみると、ケータイ電話、音楽プレイヤーなど日本のお家芸と言われていた情報家電がどう衰退したかなんとなく見えてくるように思います。
冒頭の対談の中で「そうだよねぇー」と思った部分を引用します。
ITはビジネスをどのように変えたと考えていますか。
石倉 いろんな意味でITは、世界の原動力だと思っています。国境をなくし、スピードを加速させ、企業の戦略自体も変えた。正しい答えを見つけてから戦略を立て るというスタイルを変えたのはまさにITで、それを海外企業はわかって動いているけれど、日本企業はどうかと問われると疑問です。ここで発想を変えない と、ついていけないのではないかと。
遠藤 当初ITは、業務の効率化や標準化を行うための道具として使われていましたが、昨今は武器として使われている。けれど、日本企業にとってITは依然として 道具であり、ついてきていないと私も実感しています。ただ、道具にしろ武器にしろ使うのはヒト。いくらいいものであっても活用するヒトのマインドが重要な のです。ここが日本企業は弱い、特に経営者自身がITを触らない、特別なものと思っているのではないでしょうか。
石倉 ITは"技術"であり、一部の人が使うものと考えているところがありますよね。経営者が全部を知る必要はないけれど、感覚的に知っておく必要はある。IT の良さは、時と場所を選ばずにどこでもビジネスができることにあります。仕事の仕方、働き方はもちろん、競争の仕方も変える。この武器を使えばいろんなこ とができる無限の可能性を秘めています。
遠藤 近年のITテクノロジーの発展は、産業革命に匹敵すると考えています。いまは誰もが、日本にいながらにして世界で起きていることをリアルタイムに見ることができるようになった。それを理解して戦略を立てた人、立てない人の差は、当然出てきます。
どうでしょう。前半で述べた内容にITという軸でも当てはまることが多々ありそうですね。GREEもモバゲーもキャリアのモデルの枠の中で気づかれたソーシャルモデルであり、SAPゲームです。ガラゲーブラウザーで動く仕様でソフィシフィケイトされてきた挙句が、ネイティブアプリなどに軍配をとられ、各社軒並み赤字計上、リストラとなっています。
サラリーマン化された大企業が乱立する成熟した日本経済におていは、米国のシリコンバレーのような資金と自由な発想をナーチャリングできるような特別区を作るぐらいしないとだめなのかもしれません。
十数年企業ではたいてはいるのですが、皆さん思考回路が止まっているようにも思うこともあるのも事実。能力のある人がしっかり実力を発揮、または企画を実現できるような環境は大企業では難しいのかもしれませんが、もっとベンチャーが生まれる活気がまた出てきてもいいのかもしれません。
昔のデルやテスラモーターやAndroidケータイなどベンチャー企業がレガシーな領域まで果敢に攻め込み、市場を飲み込むのを見ていると、大企業は何をしているのかと考えてしまうこの頃でした。
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