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西暦2028年。ビックデータカンパニーが全てを支配するデータ箱庭社会なっている!?

2014年03月09日 ネズミ1号:略称「T」
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medium:ガートナー社のデータトピア2018プロジェクトに投稿されたお話が面白いので紹介します。このプロジェクトは、収集される情報の役割やそれを使うテクノロジーについて、社会、ビジネス、個人の生活にどのような変革をもたらすかという観点で未来のシナリオを描くというプロジェクトです。ビックデータが最大限活用される便利さを追求することで起こりうる未来。便利さとの引き換えに人類が遭遇する弊害など想定されていて面白いシナリオです。近年ビッグデータなどの活用などが話題となっていますが、今から14年後の2028年がこのようにどうなるのか想像してみると面白そうです。


 

 

2028年の会話の一切いらない朝のカフェテリア

2028年10月9日朝。あなたはいつものコーヒーショップでエスプレッソを飲むために立ち寄ります。カフェテリアに入店する際に、スマートウォッチの画面を人差し指でスワイプしいつものモノを注文。いつもの席に着いてひと時を過ごした後、またスマートウォッチの画面をフリックして支払いをその場で済ませる。
入店から退店までお店の人とはだれ一人とも会話をしないことにふと気づいたあなたは、「2013年当時からはずいぶんと世の中変わったものだなぁ」となんとも言えない郷愁の思いに更けるのでした。

リアルライフと仮想世界を区別していた2013年代
ビッグデータが実現する快適な生活で人々の意識は変わった。

datatopia-cafe.png2013年代オンライン上では秘匿性というもの価値がまだ存在し、人々はリアルな自分とオンラインの自分とを明確に使い分けていた。なぜならば、フェイスブックやリンクトインなどのソーシャルメディアにちょっと疲れていたりもしたからだ。

しかし、ビッグデータがそうした考えを一層した。より快適な生活を送るために、ソーシャルとは違った文脈で自分自身の行動や趣味嗜好といったデータを提供する事、またそれらが活用されることに対し、人々は徐々に慣れ親しむことになる。自分がいる場所、銀行口座やクレジットでの取引実績、病歴までさまざまなデータを日々収集し、個々の個人にあった最適なサービスやモノが全てオーダーメイドでマッチングされ、提供されるようになったからである。

個々の個人に関するペルソナを可能としたこの革命的な技術革新は、群衆ペルソナ巨大企業"PCs"を生んだ。PCsとは、365日24時間刻み込まれる市民のログデータを一括して集約し、安全に管理し、またさまざまなサービス提供社にセキュリティガードの係ったAPIを提供し、個人に最適化された情報やサービスを提供するコアプラットフォームを提供する企業であった。

2028年PersonaタグP-Tagの無い生活は考えられなくなった

datatopia-datadriven.png

人々は、PCs社が発行するペルソナタグP-Tagを活用し、日用品をかったり、新しい車を買ったりするようになった。このPタグというのは、PCs社が個人に対して発行するデジタルキーで、個人の余計なプライバシーを参照することなく、決済から、その人の現在の状況に合わせた情報マッチング、最適な医療の提供から教育サービスの提供まで受けることができる便利なインターフェースタグだ。

先のカフェテリアの例でいうと、スマートウォッチをスワイプすると、あなたのP-TagによりPCsへクエリーが送られる。P-たg社のグラフデータを通して、そのコーヒーショップに今までのコーヒーに関する注文履歴、それも天候や曜日、関連する行動履歴から今日のあなたに最適なオーダー情報だけをバリスターに送信するという仕組み。コーヒーショップでは、あなたがどこそこの誰?ということは知らずとも、ミルクと砂糖付のラテが注文されたとして当該サービスを提供するという具合だ。

プライバシーも担保でき、便利なる生活。いい事ずくめのはずだったのだが..

2028年、すべてのモノやサービスは、P-Tagを通してPCs社のグラフデータを経由して提供されるようになった。なぜ、そうなったのか?それは、PCs社の個人のグラフデータがいわゆる社会的な信用データとして活用されるようになったからである。極端なことをいうと、P-Tagを持っていない人は、銀行で口座も作れなくなった。銀行の与信管理システムは、効率性を追求することで、PCs社のP-Tagを活用したシステムに対応することになったからだ。
この事は医療機関でもどうような流となった。P-tagを電子カルテと一緒に活用することで、その人の病歴、保険加入状況、そしてその状況を加味した最適な治療法を松竹梅と選択できるようになったからである。

世の中は、究極なまでに効率化され、人を返したサービスはほぼゼロに近くなった。単純なサービス業をはじめ高度なホスピタリティ、営業などの人と人の関係を調整するようなサービスから専門知識を有する提案サービスなどももはや人が介在する必要はなくなり、人々はより高度な知的分野における仕事や研究開発に集中することができるよになった。しかし、一方で高度な研究開発、インテリジェンスな仕事、イノベーションを生み出すような仕事以外の仕事は無くなり、有り余った雇用を吸収する受け皿もなくなった。

P-Tagアルゴリズムの精度向上に伴いさまざまな弊害が..

今やP-Tagを使わないもはまともな生活ができなくなりつつある。個人のデータを提供することに反対する人々はレジスタンスを組織し、データによってコントロールされる社会とは一線を引いたコミュニティを作るようになる。一方で近年P-Tagによる逆差別なども問題になるようになった。例えば病院の診療だ。再発の可能性の高い病に苦しむ人々に対し、治療しても効果があがらないということで、P-tagで診療を受けても、薬を処方してもらえなくなっている人たちがいるという弊害だ。これはP-Tagにより、健康保険運用事業団などの効率化が進み、余計な医療費を削減するというアルゴリズムが導入されてから社会問題となっている。医療というものは、実は効率的な考え方よりも、個人の感情という部分も考慮すべきでないかという議論なども最近起きている。

datatopia-realandvirtual.png

今やあらゆるサービスやモノがPCs社のP-tagと膨大なグラウデータを解析するPCs社のグラフアルゴリズムに繋がり機能する社会となった。効率性を追求した結果、金融破綻や資源の乱用ということは無くなったが、そこに人間が介在しなくなったことで、効率という名のもとに、実は人々にとって窮屈な弊害も発生しつつあるようだ。P-TagとPアルゴリズムが誕生して20年。そろそろそのアルゴリズム体系も限界にきていると言え、抜本的なアルゴリズム改変をすべきか、G30サミットで来月決議がなされるようだ。しかし、ちょっとしたアルゴリズム改変でも各国の巨大コングロマリット企業にとっては、数桁の利益が飛ぶような事態になることも考えられるため、交渉は難航するものと思われる。

ちょっと脚色しましたが、このガートナーの未来予想シナリオのエントリーは、風が吹けばおけ屋がもうかるような作用が連なることで、未来はこうなるというお話です。日々さまざまなサービスや革新がニュースなどで報じられ、数か月でビジネス環境は変わる!?などとあたかもドラスティックな毎日が流れているように思える現在ですが、実は10年20年スパンで考えると、実は毎日はちょっとした変化やことが少しずつ積み重なっているだけなのではないかとも思えてしまいます。

この他にもカルラ教授などによる「悪夢なシナリオ」なども面白そうです。



2014年03月09日 ネズミ1号:略称「T」
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