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「違いを説明するカッコイイ!」から「共感を呼ぶ」クリエイティブへ!?いや違うかも。

2013年10月27日 ネズミ1号:略称「T」
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欲しいものがない現代社会で求められる変わりつつあるクリエイティブという概念

youtube.pngカンヌでメルボルン鉄道が出費した「DUMB WAYS TO DIE」というPVが5冠を受賞したそうです。「愚かな死に方」というちょっと引いてしまいそうなテーマのタイトルではありますが、かわいらしい「ゆるキャラ」に置き換えて、本来であれば、残酷なシーンを面白おかしく、シニカルに描いている作品です。実はこの映像が大ヒットして、パロディ映像もどんどんアップされて、実際に事故も減ったそうです。必要なものでほぼ日常は満たされ、物が売れにくくなっている現在、コマーシャルの世界を見てみると、この業界にも、ソーシャルな流れを意識したアイデアが徐々に普及していることに気がつきます。


 

 

広がり続けるマーケッターと消費者とのギャップ

ビジネスメディア誠:経済学やメディア論などを学んだ人にとっては当たり前のことですが、産業革命直後の世界では、製品をつくるだけで、物が売れる時代でした。そしてだんだん物質が豊かになり、より便利に、豊かな生活を満喫したいという人々の欲求を掘り出すべく、宣伝という行為がなされるようになりました。みなさんもご存知のP&Gはアメリカで石鹸とロウソクを販売する企業としてスタートしましたが、生活必需品となったこうした製品に対して初めて宣伝をきちんと取り組んだ初の企業として有名ですが、今や世界を代表するマーケティング企業です。日雑品から、耐久消費財へとマーケットはシフトして行き、車を今もっているけれども、もっと性能のよい、便利な車が出たので買いたい!という需要を掘り起こすようなかっこいいCMなどが高度成長期には良く見られた手法のようです。

でも、今を考えてみてください。電気自動車が出た。でも数百万するんでしょ。今の車の燃費が悪くても数百万は使わないし、とか、新しい空気清浄機が出た!でも宣伝文句は信用できないから、価格コムや掲示板で実際に買った人の評判を見てみようとか、情報に対する受け取り方と、消費者の中での消化の仕方はずいぶん変わってきているように思います。

amazon-review.png

※Amazonのレビュー

ビジネスメディア誠の記事の中では「共感や参加してもらう流れ」と書かれていましたが、私的にはちょっと違和感がありました。これは、従来のマスメディア的な発想で、昔お茶の間でおじいちゃんからおとおさん、おかあさん、子供が一つのテレビ番組をみて洗脳されるような考え方に似ています。よくライブ感といいますが、共感とは同時に自分以外の多くの人が今同じ体験をしているという深層心理をつくものだと考えています。だからこそ、小さいこと、ねえ、あのCMみた?とかあの番組見た?とか同時に体験したであろうマスメディアで流されたコンテンツが話題となり共感となることで人々のマインドをコントロールしようとしていたともいえますね。

実際の消費行動においては、実はもっと冷静な効率化すすんでいると思います。さまざまな情報に効率的にアンテナをはり、自分が今何が欲しいかという観点ではなく、財務面(お財布の中身、ファイナンス、費用対効果)なども見て、何が必要か、いわばビジネスライクに消費する対象を判断したいのが現在の消費者心理ではないでしょうか?

良いものは勝手に売れる、いや探される。セレンディピティを実現するサービスはあちらこちらにもう存在している。

5年後、10年後はもっと給料もあがり、生活も豊かになるという時代ではないので、汗水たらしたお金を、こう月給をもらっているだろう企業のマーケティングシナリオやクリエイティブディレクターがしかけたであろうシナロオに参加して行動するような暇は誰も持ち合わせいないのです。

比較サイトで本質的な情報を確認したり、耐久消費財であれば、仕様やスペック、一般人による実購買者による実際に使用したさまざまなパーソナリティによるレビューをそれも数本みて本質を見極める能力、リテラシーが実はもう消費者には備わっているのです。

だからこそ、商品をプロモートしなくても、ターゲットにとって本当に必要なものや、良いものは勝手に売れるのが現代なのだと思ってます。情報アンテナに便かなアルファーなボランティアがPinterestやTamblrやTWやFBなどでSerendipityな情報ソースも投げてくれるのです。ゆうなれば、自分の思考にあったエージェントをフォローする仕組みはもう備わっているともいえますね。

pinterest.png

※Pinterestの欲しいものリスト

まぁ、ソーシャルという潮流はトレンドのようでちょっとした時代錯誤的な論調の記事ではりましたがこれからのクリエイティブは、いかに、細密な、消費者が欲しいと思う情報(商品ではかならずしもない)を真摯に公開し、その結果としてあんてな力のある人に共感してもらい、勧めてもらって、最終的にイメージしている利用者に購買してもらおうというシナリオメイキング力こそが重要となると考えてみました。

当然、はじめての情報をどうリーチさせてとか、戦術的に扱う案件によりさまざまなケースがあるのも事実ですが、そういう点で、メルボルン鉄道のゆるきゃらを使った残酷な文脈を面白おかしい文脈に代用するような発想は今後、消費とは一歩下がったコミュニケーション手法としてのヒントになるかもしれません。

ただし、マーケティング観点でいうと、ここからアクションさせるためのブリッジとなる物が必要になるように思います。



2013年10月27日 ネズミ1号:略称「T」
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