2020年08月25日 ネズミ1号:略称「T」
かわら版,
アカデミア
Screen-based online learning will change kids' brains. Are we ready for that?
私学を中心にZoomなどを使ったオンライン授業の占める割合が多くなっているようです。うちの子も1学期は一日おきの登校で、あとはオンライン授業でした。当然宿題や、学習コンテンツもスクリーンベースで配布されるわけなのですが、今年に入って、スマホ、タブレット、ラップトップを通して電子コンテンツを活用して、読む、考えるという学習時間が多くなってきていると言えるでしょう。これは学習塾についても言えることだと思いますが、巷では、今後、ますますオンライン化、デジタル化が加速して行くだろうとの予測もされています。
しかし、子供たちの学習環境のこうした変化に弊害はないのでしょうか? 実は、スクリーンを通して文章を読むという行為は、子供のみならず、大人も含め、表層的な読書となってしまうみたいです。スクリーンという媒体の性質上、気が散り気味となり、紙媒体と違い、パラグラフをざっくりみて、読み進めてしまうという人の性質があるのだとか・・。
同じ内容を紙とスクリーンとで読ませたところ、スクリーンでは包括的な理解度が紙のプリント比べて下がることが検証されたそうです。その代わり、スクリーンをとおして読んだ方がその読書スピードは速くなるそうです。
これは、スクリーンを通して文字を読むという行為が、一般的に深く読解するという行為から離れてしまうためなのだそうです。表層的に、活字をスクリーン上で目で追ってしまいがちとなる"shallowing effect(表層的な読解)"と呼ばれる現象が起こるのだそうです。
80%近くもの大学教育者もこうした"表層的な読解"現象を教え子を通して確認しており、読み物に対する深い読解力が養えなくなるのではと危惧しているようです。
一般的に、情報を知識としてゆくためには、深く文章を読み返し、考えたり、疑ったり、コンテキストを通して類推して、点と線を繋げていったりすることで初めて情報がナレッジ・知識となると言われています。
本という媒体は、まさにそれにうってつけなのだそうですが、画面を通して活字を読むという行為は、どうしても意識が散漫となってしまい、表層的な読解を人はしてしまうようです。
ただ、大まかに概要を掴むという点では、スクリーンを通して活字を読むという行為は読むスピードという点ではメリットがあるとのこと。
活字を読むという行為は、文字通り人の脳構造を変えるそうです。元々人は、活字を読むという行為が先天的にあったわけではなく、人により開発された活字という媒体通して、後天的に論理的な脳回路を形作ってきたようです。
言ってみれば、読書、読解を通して学習ることで、情報を頭の回路で整理してロジカルに、論理的に知恵や知識としてシナプスに刻むという行為が学習といっても過言ではないのかもしれません。
そういう点で、「何を読むのか」という点がこれまで重視されてきていましたが、「どのような手段で読むのか?」という点に関しては、まだ始まったばかりのステージであり、これからその弊害やメリットの検証が必要だと言われています。
少なくとも、現在検証されている情報としては、画面で読むほうが子供たち大人問わず読む速度が速い傾向になる。その代わり、深い読解をしない傾向になり、中身の包括的な理解度は低くなるとされています。
いずれにしても、少なくとも、子供から大人になるにつれて、ラップトップやスマホをとおして情報をやり取りしたり、情報を読むという機会は増えるわけですので、幼少期からの学習プロセスにおいて、以下に紙媒体、整理された本をバランスよく読む習慣をつけ、自分の頭の中で知識として体系化出来る癖を付けるというのが重要となりそうです。
その上で、スクリーンを通して、活字だけでなく、動画や音声といったマルチメディアコンテンツを消費できる素地を作ることが、今後ポイントとなるのではないでしょうか?
2020年08月25日 ネズミ1号:略称「T」
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