NYTimes:Google+については、そのあまりも強制的なログインを促す手法に昔からYouTubeを使っている人やGmailを使っている人の中には、ある種の抵抗感があるようです。「検索で優位に立ちたいからGoogle+を無理やり使うよう促している」とか、「そすることでソーシャル領域も支配しようとしているのでは?」などとお考えの方もいるとは思いますが、実は、GooglePlusの役割は、フェイスブックと真っ向に張り合おうとしているのではなく、ユーザーの価値ある行動データを統合するという点で重要な役割を期待しているという事なのだそうです。数が多ければいいという凡人が陥りやすい論理とは裏腹に、Google社のしたたか戦略がGooglePlusを通して見えてくる内容です。
よくフェイスブックと比べるとグーグルプラスはゴーストタウンだと表現されています。クラスメイトであった旧友の赤ちゃんを見たい時とか、長期休暇をとるときにスタータス通知する際などはグーグルプラスでなくフェイスブックを使うのが普通だからです。でも当のグーグルはそんなことは全然気にしていないそうです。
実は、フェイスブックなどはソーシャルグラフを活用した広告モデルを確立すべくさまざまなアルゴリズムを実験し展開しています。現在フェイスブック広告というとエンゲージメント(アフィニティ)や嗜好性などといった結構漠然とした行動セグメントでの配信ができるという感じだったと記憶しています。コンテンツマッチ、コンテキストマッチといったスキームもないようい思いましたが、そういう意味では有償広告出稿という点ではどちらかというと低単価で高ボリュームに配信できるため、CPAが低く済むという点がマーケッターのメリットとして考えられるかもしれません。
タイムラインやウォールにどれだけのレレバンシーで広告を表示できるかという点も現時点では、今だ実験段階であると見受けられます。フェイズブックのADインテンションはどちらかというと受動的な心理であるからかもしれません。TwitterADにはTweetしている内容のキーワードを指定できることができますが、こちらやはり低単価で100万人にクラスにリーチできる(Retweetはコスト換算されないなどのメリットも)のが売りです。こちらも受動的なものなので、即コンバージョンというよりは、ネットワーク上で評判を広げ、ListingやGDNの併用やらその他の包囲網で刈り取るという事に使うのが現時点では有効そうです。
これに対し、グーグルの広告単価は高めです。検索広告は1クリック数ドルから数十ドルするものもありますし、GDNもIMP単価、クリック単価ともレレバンシーにもよりますが、高いです。それは、広告レレバンシー、マッチング制度が高いからと言えますが、このグーグルが、Google+で、グーグル社の全サービスを統合し、ユーザーの行動を補足できるようになるのです。
なにもOne2Oneマーケティングをするという訳ではなく、少ないユーザー数でも統計的にビックデータを解析することで、広告レレバンシーを高めるマッチングロジックがフェイスブックのソーシャルグラフなどに比べて格段に高いのだということなのかもしれません。くしたビックデータをGooglePlusで串刺しながらモデリングできるということはどれだけの価値を生むかは広告プラットフォームをビジネスモデルとして確立したGoogleにとっては明白だと言えそうです。
GooglePlusの月間アクティブユーザーは、5兆4000億人だそうです。しかし、Google+をソーシャルとして活用しているユーザーは、半分もいないとの事。ほとんどのユーザーは検索エンジンを利用しているときにログインしていたり、アンドロイドを使っているときにログインしていたり、もしくはYouTubeを使っている人たちということなのです。
そして、こうしたアプリケーションやサービスをグーグルプラスアカウントをキーに行動パターン情報を取得できることが大きな資産となっていおり、広告収益の質を高めているそうです。(また広告主もこうしたデータを基礎とした広告メニューに期待しているそうです。)
スターバックスの「プラス」数は、300万、フェイスブックの「いいね」数は3600万。およそ10倍の開きがありますが、スターバックではグーグルプラスをフェイスブックと同じように更新しているそうです。そうすることで、検索結果の特等席をもらうことが期待できたり、またGoogle社から直接アドバイスがもらえるのだそうです。エコノミストなどはもっとも積極的にGooglePlusを活用しているそうですが、GooglePlusに投稿した記事のリードが検索結果上位に表示されているみたいです。
スターバックスやエコノミストなどは、グーグルのデータ収集サンプル企業としての裏パートナー事例だと思いますが、検索サービスの巨人グーグルがユーザー規模のないGooglePlusと検索サービスなどを統合するメリットして、反トラスト法による訴追リスクを回避するメリットもあるそうです。
一方で、グーグルはGoogleサービスを使う際にGooglePlusのログインを強要しているので、利用者の中には反発を抱く人もいるようですが、今やメールやスマートフォンアプリのダウンロード、スケジュールからアドレス帳まで、Googleにログインしないと成り立たないという人も多いのも事実。トラスト法を回避しつつ、着実に価値あるデータを収集するというしたたかな戦略のか要がGooglePlusといういう訳のようです。
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