この本によると日本は近い将来2度目のバブルになるようです。消費税増税とアベノミクスについての考察1で書いてみましたが、世界中のマネーが行き場を失い、日本に殺到するとの文脈で語れていました。この本の中で語れている「グローバルマクロ」という概念がありますが、「世界で動くお金の流れを追って、そこから世界の今後について推測できる」ということのようです。調べてみるとグローバルマクロというのはソロスなどヘッジファンドが使う一般的な金融手法のようで、世界中の国や地域の政治見通し、経済トレンドなどを読んで、各国の経済、金利、為替などのマクロ指標予測に基づいて機動的にグローバルな投資を行うと運用手法とのこと。
日本でのマネタリーベースの金融緩和、円の価値が減る、国債が日銀紙幣にペッグされた形になる、インフレになる、金利が上がる、株価があがる→「日本が買いだ」という投機筋の流れができるということのようです。この本の中には「仕掛けられたバブル」という副題がありますが、アメリカが新ドルを発行するとか、中国が元の機軸通貨を目指すとか経済や金融活動視点でざっくり情勢を知るにはいい本かもしれないと思いました。忙しいので目次レベルを見た範囲ですが、こんな本を書く人もいるんだなぁと、逆にこんな本を出して日経などにものっていたのでふと気づくような人たちになんらかの刷り込みなども考えているのかもしれません。
表題の話しにもどると、現在先進国では、数年前のリーマンショックからはじまった金融不安、ユーロ加盟国のソブリン危機に端を発した金融不安など実態経済まで波及した不景気感は連日ニュースなどで見られる風景となっているのは皆さんもご存知だと思います。
FRB、想定よりも早期に資産売却が必要となる可能性=米連銀総裁(ロイター)
こちらの記事にもあるように、北米では、財政の壁問題と、リーマンショック以降数年に渡り実施してきたヘリコプターマネーといわれている量的緩和施策によってFRBのバランスシートは膨れに膨れ上がって(3兆200,000億ドル、日本円で、300兆円強)おり、限界にきているようです。
上のロイター記事によると、想定よりも早期に資産売却(バランスシートの縮小)が必要となる可能性があると述べているとのことです。これはどいうことかというと、量的金融緩和が縮小sれて、アメリカ国内でお金が流通しなくなり、株価が下がり経済が停滞するであろうということです。
金融政策にらむドル円、日銀緩和は米国の「緩衝材」か(ロイター)
こちらの記事にはアメリカ国債の最後の買い手となってきたFRBに変わって、グローバルな過剰流動性の供給元として、更には米国債を間接的に支える役割として今回の日銀の金融緩和政策が米国からも指示されているという大人の事情もシナリオとして描かれているのではということが述べられています。
どういうことかというと、日銀による過剰な金融緩和(長期国債含めに日銀券を発行して買いまくる)を行うことで、国債利回りが下がり、結果として日本の金融機関はこれまで預貯金の融資先として国債を買っていたが、資金運用先がなくなり、結果として米国債を買ってくれるという思惑のようです。そうなれば、アメリカは安心して量的緩和策の出口にでることができるということでした。
こうしたニュースをみても国内金利は当面はあがることはなさそうです。という読みができるようになります。金利が相対的にさがる(実質だとマイナス換算とあおっている御用学者もいるようですが)預貯金していて、お金の価値がさがるので、価値があがる株式や、金利の高い米国債権を買うといった運用を行いましょうという心理に訴えかけるようなニュースが今後目に付くことが多くなるのかもしれません。
余談:たまたま見たニュースで、シェールガス革命という事案と、アメリカでシェールガス生産企業が価格下落でつぶれたニュース、ロシアの極東ガスパイプラインなど動向などのニュースを見かけましたが、「プーチン 最後の聖戦 ロシア最強リーダーが企むアメリカ崩壊シナリオとは?」と言った本に各国のエネルギー駆け引きと機軸通貨にまつわる駆け引きといったストーリーが読み取れる文脈がありそうでしたので、次回はこのことについて考察してみたいと思います。
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