2015年12月17日 ネズミ1号:略称「T」
かわら版,
時事・経済要点
TheWallStreetJournal:16日予測どおりというか予定どおり米中央銀行の利上げが発表されましたが、本当に年末ぎりぎりのタイミングということでした。利上げ幅は0.25-0.50%をまずは誘導目標としているそうで2016年度の金利見通しの中央値から来年この規模で4,5回ぐらいやられるのではないかという論調を各誌で目にしました。米国が金利をあげるとどうなるこうなるという憶測記事やテレビ番組などいろいろありますが、ビジネス面でどのようにマネーがシュリンクするのか素人ながらに風が吹けば桶屋が儲かるという感じのお話をWSJの記事からそれとなしにまとめてみました。
簡単にいうと、調達コストがゼロに近いマネーを数年後には何倍になるという投資案件に、リスクを追って投資しまくってきたということだと思います。例えばベンチャー企業のバリュエーションについて見てみると。What's the difference between pre-money & post-money?にもあるように、まず、①起業しベンチャーが商品やサービスの企画、開発にかかる投資から始まり、②商品やサービスを開発して市場にリリースしてから事業化するラウンド、③そして事業化から事業を軌道にのらせ、成長を加速する・・・といったようなフェーズをラウンドに分けて、投資ファンドがお金を入れるということがなされていると想像してみてください。
ちなみに、①をシリーズA、②をシリーズB、③をシリーズCとかEとか良く言われている言葉に置き換えると、①のシリーズAにお金を出資するベンチャーキャピタルは何を見て判断してお金を投資しようと判断するか?まぁ簡単にいうと、企画書とそれを書いた本人の熱意とか人間性とか学歴ととか人脈とかほぼ直観に近い感覚で、アイデアに対し数億円ものお金を入れる訳ですね。
本当に企画書しかないものにはさすがにお金は入れないと思いますが、例えばプログラマーがこつこつ空き時間につくったパイロットなサービスなんかをみて、直観的に判断して数億入れる訳です。
最初に例えば1.5億円、開発のために必要な資金をいれます。サーバーインフラ台や、一人だと開発スピードが遅いので、2人ほど優秀なプログラマーをやとって、1年がたち、1.5億円の資金も潤沢につぎ込み、ある程度サービスが形になってきました。テスト公開して得たユーザーの反応も良く、βサービスとして公開して2か月ぐらいたって利用者が10万人位まで増えました。
ただし、ポイントはここではこのサービスがどういう風にお金を稼ぐの?とかそいう見通しはたっていなかったとします。このタイミングで次の1.5年後の事業目標を達成するために、さらなる開発要員の増員、宣伝マーケティング費用など必要資金として3億円の増資を投資家に募るのですが、この時、
初期に入れられたお金1.5億をプレマネー、次に増資する3億円たした合計投資マネーをポストマネーといいプレ1.5億、ポスト4.5億とかみたいなやり取りがされるのをよく耳にした人もいるかもしれません。
この企業の価値はまだ利益を1円も生んでおらず、行ってみれば、1年で1.5億の資金が消えてゆく状態であっても、4.5億円お金をつぎ込んだ価値(バリュー)があるというアセット(資産)として捉えられるわけです。その次のラウンドでは、利用者数が半年で50万人、次のラウンドまでに100万人へマネタイズ等のイメージは、小声で、ほにゃらら・・・
という感じでどんどん雪だるま式にバリュエーションが引き上げられるわけです。そして念願のIPO。市場では、その時の最終バリュエーションがいくらになるか手に汗握り見守るわけですね。
一般的に、一番初めのお金を入れた人は、開発が終わった後の面倒は、シリーズBに出資する人が見るから別に問題合い、シリーズBにお金を入れた人は、次の事業加速時期に投資する連中がその先の面倒を見るから問題ない。。。そして、その次は、IPOしたあとは、一般投資家が資金の面倒を見るから問題ない・・・というスパイラルで、サービス利用者の数の成長性とその将来にきっとなしえるであろう、事業による売り上げの幻想という期待という責務が次へ次へと引き継がれていっていたという風に想像して見ると分かりやすいと思います。
上記のようなスパイラルがまわっていたメカニズムの一つに、コストの安い資金があったというおはまぎれもない大きな要因の一つだっといって間違いないでしょう。20案件投資して、その内1つでもIPOまでいってくれれば、当初つぎ込んだお金の数十倍から数百倍のバリュエーションがつくわけですから、リスクを犯せるわけです。
しかし、お金を調達するコストがあがってくるとどうなるか?もう創造つくと思いますが、投資する案件は、非常にシビアに見極めるようになり、コストと利益の実態がきちんと等身大なものに絞るられるようになってくると思います。なぜならば、数十倍にはならないかもしれないけれど、3年で2倍ぐらいになればいい、その代わり手堅い事業だと判断できるもの比重をあげようという力学が資金コストがあがるとおのずと働くのは容易に想像できます。なぜならば、失敗した時、損失をとりもどすためには、また新たな資金を調達し、それを大きくしなければならいからで、その調達コストがゼロでなくなったとしたら、人間だれでも、原価を気にしだして、新潮に行動するようになるとうイメージです。
WSJの記事によると、医療健康サービスを展開するZenefitsやSnapChatといったメッセージングサービスを展開する企業やDropboxといったクラウドストレージ企業まで、これまでユーザー数を中心にベンチマークされてきた企業が、その収益性点で軒並み評価が落とされる動きがあるようです。
特にDropBox社については、取引関係の北米の方がいうには、次の資金繰りがつかず、年内に破産手続きをするかもしれないという話もちらっと聞こえてきたりもしています。
ここまで見ると分かると思いますが、ゼロ金利や量的緩和によって、架空の価値が生み出され、利益も出ていないのに、無料で使えるというITを中心として、本当はなくてもいいようなサービスが沢山つくりだされてきたということがなんとなく想像がつくかもしれせん。
こうしたサービスは、10代の若者を中心に支持され、ばく大なユーザー数を抱えるものが多いのですが、確かに10代の若者は使える暇な時間もおおいですし、タダで使えるのなら普段の生活の中で多くの時間を費やすでしょう。ただし、その若者たちがお金を払う能力があるのかというと決してそんなことは無いわけです。じゃぁ広告モデルでと短絡的な発想に陥りますが、お金を払わない若者に何を告知するというのでしょう?
そうして、結局はパチンコのように射幸心をあおって、親のクレジットカードから沢山お金をつかってしまうようなスマホゲームやソーシャルゲームの広告でスマートフォンのサービスでいつも目にするようになるという現象が起きているのが今ではないでしょうか?
今後マネーの還流コストが増え、還流するマネーが相対的にすくなくなることで、少なくとも、利益が出ていない巨大なサービスを提供する企業から、ベンチャー企業まで、該当するセクターでは、事業の実態に合わせたさまざまな調整局面に入るのかもしれません。
ある程度成長フェーズを経て、収益が出ている企業はなんとかなりそうですが、これから成長フェーズにというポジションの企業などは、それが巨体であっても、DropBox社のようにある日突然淘汰される・・・といったニュースが飛び込んでくるようになるかもしれません。
少なくとも、こうした振興事業が創出する今日は、レガシーな産業で賄いきれなくなった新たな雇用を創出し、またそうした雇用によって消費が生じ、実体経済にも、そのマネーの恩恵は少なからず波及していたと言えるでしょうから、来年から徐々に開始されるであろう利上げによって、再来年、その翌年の実態経済がどうなるのか、まわに節目の年になるかもしれません。とふと思った次第です。
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