bloomberg:2008年9月のリーマンショックから約4年。米国経済は蓋をあけると失業率が7%と以前高い水準で推移しています。イエレン氏によると、失業率7%という数字は、実体経済における「労働市場」と「経済動向」が実際の国民総生産における潜在力を大幅に下回っている証拠だと言っています。この言葉を私なりに解釈すると膨大な金融緩和を行っても、実態経済を底上げできるような経済動向となるように末端までお金が流れていないと言っているとも言えそうです。では、ここで記事のインタビューからイエレン氏の政策のポイントをまとめてみます。
※イエレン氏画像:Bloombergより
米失業率7%「労働市場」と「経済動向」が潜在力を大きく下回っている証拠だとしています。金融バブルの精算をしただけですと実体経済を担う庶民の経済活動が底上げされるというは大きな間違いで、やはり一般庶民がモノを消費しないと底力(雇用)は生まれないという事なのでしょうね。これは、実態のないバブルによる雇用創出するよりも、きちんと実態のある経済活動を底上げすることで、末端失業率を下げましょうということを意味していると言えそうです。
「一部の銀行が大きすぎて潰せない」認識を是正資本・流動性ルールの徹底と強力な監視・監督
→リーマン以前、サブプライムなどで低所得者にまで住宅を買わせ、架空の価値を想像してきた張本人については、しっかり精算してもらう。金融緩和は、架空の価値が亡くなったショックを和らげるものであり、当事者を救済するものではない。
イエレン氏は一方で、新たに策定する規制については、中小金融機関の役割や貢献を考慮して負担を制限する方針を打ち出しています。
実態経済において真の意味で雇用を生むのは、全米に点在する中小企業が元気になることだという事ですね。中小金融機関まで先行きの不安を理由にお金が回らない、なかなか融資できない状況を打破し、健全な金融機関としての融資、資金繰りのサポートといった中小企業がきちんと活躍できる環境を整えましょうという発想のようです。そうすることで、具体的に雇用も生まれ、失業していた人が雇用され、きちんとした生活を送るようになれることで、スーパーで買い物をし、洋服を買い、ローンを組んだり出来るようになるということです。
確かにバブルによっても雇用は生まれていたことも事実です。住宅が売れれば、住宅施工業者は人出が足りなくなり人を雇うでしょうし、保養地や旅行会社、プレゼント、贈答品などを作る会社なども繁盛した事でしょう。ただし、バブルははじけてしまうとその負の遺産が大きいため、回復が難しいのも事実。3年に渡りヘリコプターマネーをばらまいて、そろそろ実態経済を底上げしないという感じなのでしょうね。
こちら記事「量的緩和には配管整備が必要。スティグリッツ教授マクロ施策だけではなんの対策にもならない」でも書きましたがスティグリッツ教授は教え子イエレン氏の施策を指示しているようですね。ゴッホの絵が売れても実体経済を底上げするような乗数効果は生まれないということを明示した政策だと言えますね。
- 金融緩和継続による架空価値の精算
- 大手金融機関にはモラルハザードを回避すべく強力な規制策定と監督・管理
- 実体経済、得意雇用を促すために中小金融機関を養護する政策を検討
是非やってもらいたいものです。
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